第15話逃亡者、方針をきめる
小山君の部屋に僕、委員長、小山君の友達2人と桜先生が集まる。
僕は一応この部屋を[鑑定]を使って調べるが盗聴などはされていないようだ。
「じゃあまずは僕の事から話すね。思う所もあると思うけど、とりあえず最後まで聞いて欲しい」
そう前置きをして教室で僕以外の人が消えてからキリオスの神シキに会うまでの事を順番に話していく
「こんな感じかな。ああ、それと僕がスキルを色々使えるのは女神アステリナ様からもいくつか与えてもらったからだよ。…いきなりすぎてすぐには信じられないかもだけど本当の事だよ」
みんな困惑している。
「…それじゃあ、今地球では私達の事を皆忘れてるって事?」
委員長が声を震わせて聞いてくる。
「そう聞いてるよ。僕がこっちに来てからいなかった事になるみたいだから実際にどうなったのかは僕は見てないけど…」
「そんな…」
委員長はショックを隠せないようだ
「僕だけズルして家族から忘れられないようにしてゴメン……」
僕は頭を下げる
「…影宮君が謝ることじゃないよ。それに私達の事も切り捨てたんじゃなくて、希望は残してくれたんでしょ?そのおかげで地球に帰れても誰も私を覚えてないなんて最悪の未来は回避出来るもの。…ありがとう」
もっと怒られると思ってた。
「女神様と最高神様の善意のおかげだよ。僕は何も出来なかった。」
「うん…。女神アステリナ様、最高神様ありがとうございます。」
委員長は指を組んで神様にお礼を告げる
「地球に帰る方法はないって事なのか?まぁ、僕はせっかくの異世界だから帰るにしてもある程度謳歌してから帰りたいけど……」
小山君が聞いてくる
「帰る方法があるかどうかはわからないよ。わかっているのは今までキリオスから地球に戻ってきた人はいないってことだけ」
「それじゃあ、魔王を倒せば地球に帰れるってのも嘘なのかな?」
「信憑性は薄いと思うよ。過去に召喚された人が魔王を倒した記録でもあれば嘘で確定すると思うけど…勇者召喚が魔王を倒すまでとかの契約みたいになってるなら可能性はなくはないかな。まぁ、あの国王を見てると魔王を倒せるくらいに強くなった僕達をすんなり返してくれるとは思えないけどね…」
「そうだよね。僕もそう思うよ」
小山君が難しい顔をして答える
「僕はなんとしても地球に帰るつもりだよ。その為にこれからどうするか方針を共有しておきたいんだ」
僕は改めて自分の目標を伝えた上で今後の方針を相談する。
「このままこの国に居続けるのは危険だと思う。この認識は同じでいいかな?」
みんなが頷く。
「僕達のとれる選択肢なんだけど、一つ目はクラスメイト全員で逃げること。二つ目は希望者のみで逃げること。三つ目はこのメンバーだけで逃げること。四つ目は僕だけ逃げること。四つ目に関しては、多分僕は遠からず国に処分されると思うんだ。挑発しすぎたし、毒についても核心を突きすぎたから警戒されたと思う。だから少なくても僕は残らないって意思表示だと思って。」
僕は選択肢を提示して話を続ける
「クラスメイト全員で脱出するのがベストだと思うけど…それは難しいかな。食堂での事も僕が一人で騒いでただけと思われてるだろうし、国王に不信感を抱いていない人を連れて行くのはリスクが高すぎる。
現実的な可能性がある所で僕は二つ目の案がいいと思う。ある程度の時間が掛かるのがネックだけどそこさえクリア出来れば準備次第で可能だと思う。ここから逃げる時や逃げた後が安全かはわからないし、残るのもリスクはある。どっちを選んでも自己責任と考えてもらうしかない。まあ…残るって選択肢に明るい未来があるとは思えないけどね……。
三つ目と四つ目に関しては今すぐにでも実行可能って所にメリットがあるね。残していくクラスメイトに罪悪感が残るけど……
どうかな?」
桜先生が渋い顔をして答える。
「影宮君が言うことは最善だと思うわ。でも私は生徒を一人もここに残して行きたくないわ。だから時間ギリギリまで全員で逃げれるように考えたいわ」
委員長が桜先生の意見を聞いて続ける
「そうね、私も出来るならみんなで逃げたいわ。全員で逃げれるように桜先生に協力する。でも誰か一人の為に他の人まで危険に晒すのは違うと思う。だからどこかで踏ん切りを付ける必要があると思う」
小山君が口を開く
「僕も委員長に同意見かな。ただ国の対応によってどう動くかあらかじめ決めておいた方がいいと思う。みんなを説得して準備をする時間がとれるとは限らないから。現に影宮君が殺されそうになってるし、同じように他のクラスメイトが死にそうになるかもしれない。その時にどう動くかパターンを作っておこう」
小山君の友達二人も同意見のようだ。
それから怪しまれないよう、1時間程で話し合いを切り上げ、明日も同じ時間に集まる約束をして解散した。
「さて、行くとしますか」
僕にはこれから会わないといけない人がいる
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