第20話この時代では普通の事でもさ~
石神井城に戻り、自分の部屋に戻ると、身の回りの世話をする役目を泰経さんから与えられた小間使いの人が鎧を脱がせてくれる。
「そう言えば、鎧って普段は鎧櫃に入れとくものなの?」
「いえ、いざという時にすぐ着用出来るようにしておきます。 遠方の合戦に行く際などは鎧櫃にいれ運びますが…」
鎧櫃って基本的に保管用と言うより鎧の持ち運び用なんだ…。
そう思いながら、ふと鎧櫃の蓋を開けると、中にはなぜかここに来る前に着てた衣服にキャリーバッグとビジネスバッグ、そして博多のお饅頭に練馬駅で買った最中が入っている…。
?????
なぜ?
部屋の片隅にキャリーバッグもビジネスバッグも有るし、着てたコートとかも即席ハンガーに掛かってるよ?
饅頭と最中は食べたからもうないけど、中に入ってた服とかは洗濯され畳んだ状態で置かれてるし。
これはどういう事?
疑問に答えてくれる人が居るわけでもないので、キャリーバッグとビジネスバッグ、饅頭と最中を鎧櫃から出して中を空にする。
キャリーバッグとビジネスバッグ、の中身は出張帰りの状態だし、饅頭も最中も中身が入ってる。
うん、とりあえずキャリーバッグの中の衣類は洗濯して貰おう。
饅頭と最中は、部屋の入り口付近に座り着替えが終わるのを控えて待っている照姫さんと椿姫さんに食べさせてあげるとして…、って1人多い!!!
誰????
「泰経さ~~~~~~ん!!!! 誰か泰経さん呼んで来てもらえます?」
大声で呼んだけど来てくれそうにないので、着替えを手伝っていた人に泰経さんを呼んで来てもらう。
突然の呼び出しに慌てて来てくれたのか着替え途中の中途半端な恰好で泰経さんが来てくれた。
ゴメン…、上は着てるけど下は褌一丁って…、そこまで慌てて来なくても良かったんだけど…。
「泰経さん、こちらのお嬢さんはどなたですか? 普通に馴染んでるんで気が付くの遅れましたけど、着ている着物を見る限り名のある方のご息女っぽいんですけど…」
「桔梗殿の事でございますか? 桔梗殿は景春殿のご息女でございますぞ。 景春殿より良しなにと言われておりますが、景春殿から何も聞かれてないのですか?」
「はい、聞いてません!!! 因みに予測は付くのですが、桔梗姫さんも側室候補?」
「左様でございます。 宗麟様の臣下となったので縁を結び関係を強固にし、さらに二心は無いと言う事でございましょう。 景春殿が江戸城に来られる際にこの城に立ち寄り桔梗殿を預けてかれたと聞いております」
いや、二心を疑っては無いけど、自分の意思を無視してお嫁さんが増えてるのが問題な気が…。
しかも3人とも14~5歳ぐらいだし…。
政略結婚で見ず知らずの人の嫁になるって抵抗無いの?
うん、どうやら無いらしい…。
どの家でも親が結婚相手を決めるのが普通で、3人とも、むしろどこぞの家に嫁ぐより自分の嫁になった方が断然良いと口を揃えて言われてしまった。
理由は実家より家格が高い家に嫁ぐと扱いが悪い場合もあり、逆に低い家格が低い家は扱は良くても実家のように何不自由無い生活が出来るとも限らず、最悪城が落城した際など凄惨な目にあう可能性が高いとのことだった。
そして3人の話だと、現状実家より家格が上、ないしは同格の家へ嫁ぐことは無いのでむしろ日ノ本を統一する為に天から遣わされたと言われている自分に側室としてでも嫁げるとの事で内心では姉妹の中で一番得をしたと思ってるらしい。
う~ん、とりあえず饅頭と最中を食べさせてるけど、このペースで増えて行くと収拾付かなくなりません?
えっ、ならない?
泰経さん、道灌さん、景春さんの3人で今後、娘を側室にと言って来る国人領主等の対応をして重要じゃない人の娘は断るって?
いや、なんで自分の知らない所で決めてるんですか!!
てか重要と判断したら更に増えるの???
せめて18歳以上の方をお願いしたいんですが…、それは無い?
18歳にもなって嫁に行ってない人は何かしら問題があるか嫁いだ先が没落して実家に戻った人しかいないから?
いや、美人だったら自分は良いよ。
手を出せない歳の女の子に囲まれてるってある意味拷問だからね?
手を出せる年齢の女の子も視野に入れてくださいね。
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※補足
以前したかもしれませんが、この鎧櫃はチートアイテムのようで、最初に入っていたPC、スマホ以外は中から出しておくと翌日には補充される仕組みのようです。
尚、出張帰りの為、キャリーバッグの中の洋服や下着は洗濯前の物と言うのが残念な所です。
婚姻年齢
以前補足したかもしれませんが、女の子は初潮を迎えると1人の女性とみなされ婚姻が出来るようになったとみなされました。
なので若年出産も多く、場合によっては産後の肥立ちが悪く、若くして命を落としてしまう女性が多かったそうです。
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