第16話これからの為に

道灌さんは家臣に命じ急ぎ奥さんや家臣の妻子を川越城へ避難させる手配をし、今は扇谷上杉家の各城主に向けた書状を量産している。

川越城に到着したら旗幟を鮮明にし書状を一気に出すと言ってたけど、それまで道灌さんは囚われの身と言う建前上、江戸城の城主として自分と泰経さんは動けないんんだよね。


農政改革に軍制改革とかやりたい事沢山あるのに…。

とりあえずはネットで見つけたこの時代でも再現可能な農機具の構造を紙に書き写し、石神井城の宗泰君に送り試作を作ってもらう事にする。


ただ、動けないとは言えやる事は目白押しなので、道灌さんの客将だった木戸孝範さんを自分の直臣として登用し内政面について話合いを始める。

これもネット情報だけど、客将だった木戸さんは道灌さんの民政面を担っていたと言われているだけあって検地による実質総農業生産高の把握及び貫高制から石高制への移行、商工業の奨励など、話し出したら様々な意見が出てくる。

朝から話し出して、夜まで話し合ってしまった…。

その結果、まずは木戸さんを奉行に任命し、現在自分の傘下にある豊嶋家の領地、武蔵にある太田家の領地、そしてこれから傘下に加わった国人、豪族の領地の順に検地をおこなう事にしてその手配を始めてもらう。


まずは検地!!!

だって、泰経さんも道灌さんも自分の領地の実質総農業生産高を把握して無いんだもん!

この村は大体このぐらい収穫量があるから何貫だろ、というどんぶり勘定で領地を経営してるから無駄が多い気がする。

道灌さんは江戸湊と品川湊を影響下に置いてるから金銭的に余裕があったけど、両湊から得られる税は今後自分の元に入るようになったからこれからは正確な実質総農業生産高の把握、そして適正で安定した税収が求められるんだよね。


ただ木戸さんには、検地の準備と並行して内政面の改革、これから奨励していく産業の検討、江戸、品川湊の商人代表との会談などをお願いした。

本当は江戸、品川湊の商人達との話し合いは道灌さんにして貰いたかったんだけどね…。

道灌さんは対外的に囚われてる以上、その家臣も表立って働かせられないし、客将と言う立場だった木戸さんに暫くは頑張って貰おう。


そして江戸城陥落から6日後、狙ったかのように突然の来客3件重なった。


絶対狙ってない?

何で3件同時に来客…? っと言ってもそのうち2人が使者らしいけど、1人はご本人様らしい。

この敵味方が入り乱れてる状態での戦後処理やらで忙しいのに!


まあとりあえず、書状を持って来た使者2人と順番に会って、最後にわざわざ足を運んで来たお客さんに会おう。


お客さんには泰経さんから事情を説明してもらえば納得してくれるだろうし。


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※補足

この時代では検地と言うものは行われておらず、土地から取れるであろう年貢の量を貫文(銭)で換算し、軍役などの基準とした制度である貫高制が通常だったそうです。

初めて検地をおこなったのは北条早雲(伊勢新九郎)と言われています。

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