第23話 情報屋
「儂たちゃ!慈善事業してんじゃねぇんだよ。ちゃんとした換算のもと相手も強大、死ぬかもしれねぇ!その補償も考えなきゃならねぇんだ!素人が口挟んでんじゃねぇ!!嫌なら他を当たるんだな!!」
すさまじい形相で畳みかけるように吠えてきたレイモンドを見て確信した。
「すまない。別に俺は貴殿たちを疑っているわけではない。むしろ今の話で貴殿たちを信頼できる者たちであると確信した。今後ともよろしくお願いする」
「う、今度は我らが試されたということですな。いやムキになってお恥ずかしい」
「恥ずかしがることなど微塵もないですよ。むしろ、本音を聞けてうれしい限りなので」
互いに心打ちを明らかにしたところで白光金貨がまだ足りないのは変わりがなかった。
「どうするのだ」
「俺にはわからないな」
「儂には一つだけ心当たりがある。・・・あまりお勧めはしたくないのではあるが、どうする?」
シャンタルと俺が途方にくれているとレイモンドがいつもとはあまり歯切れがいいとは言えない口調で俺たちに問いかけてきた。
「そんなにヤバいやつなのか?」
「はっきり言おう!!かなりヤバいやつだが、腕は確かだ」
「貴殿がそう言うのであればそうなのであろう。ひとまず会って話をすることが近道ならばそうしよう。とにかく、俺たちには時間がないんだ!」
「事情はわかっておる。背に腹は代えられないと言うことだな!では紹介することとしよう。」
そう言って、レイモンドは応接室から離れた。
しばらくすると先ほどと同じく扉をバーンと開けて入ってきた。どうやらこの入り方は彼にとって通常なのだとわかった。
「会う段取りはつけた。やつ、ジウという名だが商人の恰好をして、このギルドの都市部の中にいる。場所は・・・」
詳しい場所を聞いた俺たちはそこへ向かう準備を整えた。
この後の展開も考えて出来るだけ軽装にしてその場所へ向かうことにした。
俺たちはレイモンドに一時的な別れを告げてその商人を装っている情報屋に会いに行くことにした。
「その者は大丈夫なんだろうな?」
「大丈夫なわけないだろう?相手はレイモンドもためらうような情報屋だぞ。足元を見られたらとことんほじくり返されて抜け出せなくなるだろうな」
「そんな危ないところに我らを向かわせたレイモンドは何を考えているんだ?」
「レイモンドはそこまで知っていて俺たちを向かわせた。ということは俺たちなら大丈夫だと判断したということだろう」
まだ、半信半疑なシャンタルはぶつくさ言っているが、俺はその待ち合わせ場所に一刻も早く行って情報屋から白光金貨の情報をもらいたくてうずうずしていた。フランを助けるために。
しかし、情報屋に対して慎重に対応することには変わらない。
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俺たちは要塞のような威容をしている防御壁から中心部に誘導されながら移動した。中心部に到達すると、思わず俺はおーと声を出してしまった。
それほど、外壁と中心部の違いに驚いたからだ。中心部の広さはちょっと大きめな街が一つ分入っている感じだ。レイモンドが都市部と言っていたのがわかるぐらいの場所であった。
いったいこれを作るのにどれだけかかったのだろう?
「この都市部はさすがのレフ殿でも驚いたのではないか?」
「うん、これはすごいな!レイモンド殿が白光金貨を要求する意味合いがわかるというものだ」
この場所にはギルドの傭兵たちが暮らしをしている。学校のような場所もある。遺児などを保護している施設もあるのは確認した。
それほど、この場所を維持するのは大変なのが改めてわかった。
ましてや、相手は強国だ。慎重にならざるを得ないし、相当悩んでいたのがわかる。
「シャンタル、俺たちはこのギルドにお願いをしてもいいのだろうか?」
「何をいまさら、レイモンドがいいと決めたからには誰も文句は言わないさ」
少し引け目を感じてしまったのをシャンタルが後押しをしてくれた。
とにかく、今は考えるより行動である。少し、足早で目的地に向かった。
「うん?あの男のようだな」
「間違いないだろう!」
言われた待ち合わせ場所には確かに商人風の男が立っていた。しかし、全身からはそれとは違ったものを感じた。
「あんたが、レイモンド殿が言っていた商人のジウか?」
「・・・・・そうだ。」
俺を下からなめるように見てきた。品定めでもしているのか?
「俺はあまり長居をするわけにはいかないのでな。早めに要件だけ伝えるがいいか?」
「それで構わない」
いろいろな情報を扱うものが普通に暮らしを行えるなど通常あり得ないのでこの場は彼に同調することにした。実際俺たちも早く動きたかったのもある。
「お前たちの必要としているものは白光金貨なんだろう?それを手に入れる方法は3つある。」
「!!」
「1つ目は金貨による購入。2つ目は魔法王国の遺構で探索。まあこの辺は現実的ではないし、時間もかかる。だから今回は3つ目をお前たちにオススメしよう!」
それを言うのと同時に薄気味悪い笑みをこちらにむけてきた。
(第24話につづく)
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