トロッコ問題


暴走トロッコの進む道は二つある


一人だけが立っている道か五人が立っている道か


これからお前たちにはそのトロッコの進路を決めるレバーを操作してもらう


どちらに引いても構わない


上司は私たちの前でまず最初にその話をした


これまでの人生でたくさんのレバーを引いてきたし、時にはそのどちらかの線路上に立ったこともあった


そこで私は救い出せる人間の数には制限があるのだと知った





ある雨の日


そんな生活に嫌気がさして逃げ出した


自分で引いたレバーで私は自分を轢こうとしていた


そしてトロッコの線路上に勝手に立って、体をぶつけて止めようとした男に出会った

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