第53話 輝かしき王アーサー8
俺が扉を出て少し進むと、トリスタンだったか先ほどの騎士とまた鉢合わせた。彼は俺の事を覚えていたようで話しかけてくる。
「アーサー様のお怪我は大丈夫でしょうか? この部屋に待機していたほうがいいかもしれません。モードレットという乱入者が暴れているうえに、騎士や、市民に偽装していたアンデット達がいきなり暴れているんです」
「え……」
俺はその言葉に混乱をする。アンデット達までいるのかよ……それにしてもルフェイのやつは何を考えているのだろう。こんな状況で、アンデットを暴れさせるなんて……もしかして、モードレットに解決させて英雄にでもさせるつもりだろうか。
「ありがとうございます……ですが、俺が彼をモードレットを倒さなければいけないのです」
俺は心配してくれたトリスタンさんに感謝の言葉で返し、そのまま駆け足で広場を目指す。聖剣の力だろうか、体が軽い。どうやら身体能力も上がっているようだ。
広場はもはや混乱の渦に巻き込まれていた。おそらく、モードレットだけならなんとかなっただろう、いきなり襲ってくるアンデット達に警備の騎士達は疑心暗鬼になってしまっているうえに、民衆を守らなければならないのだ。彼らの苦労は計り知れない。ならば、俺が少しでも負担を減らす。
「モードレット!! もう剣を収めろ、お前は王になりたかったんだろ、こんな風に暴れて、何を考えているんだ!!」
「セインか……その剣は……はは、なるほどな。俺が来るという事を想定して、アーサーからスキルを買っていたという事か。まんまとお前らの作戦にはまったわけだ……」
エレインさんに蹴飛ばされたせいか、頭から血を流しながらも狂ったように聖剣を振り回してた彼は、俺を見つけると自虐的に笑いながら、こちらに向かって剣を振るう。モードレットが放つ黒い光線をエクスカリバーではじく。聖剣の加護のおかげか、アーサー様が言った通り彼の憎しみの感情が弱くなっているせいか、かろうじで戦えている。
「何を考えているかだと……、俺のただ一度のユニークスキルをはもう使ってしまった!! もう、王にはなれはしない。だったらせめて、俺の母を悲しませたあの男の忘れ形見と、俺を利用する奴らを皆殺しにするくらいしかないだろうよ!!」
モードレットの叫びと共にクラレントが再び暗い光を宿して剣を一閃する。その一撃は俺ではなく、貴族たちの部屋に直撃して爆発音が響く。
「モードレットォォォォ!!」
「これでアーサーは死んだかな? こいよ、セイン。俺はお前の事は嫌いじゃなかったが、俺の夢の邪魔をしたやつを許すほど器はでかくないぞ。これ以上犠牲を出したくなかったら止めてみるんだな!!」
そして、俺とモードレットは対峙をするのであった。
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