第40話 ガレスちゃんと幽霊屋敷4

 聖水をしみ込ませた剣が風を切る音と共に、レイスや、スケルトン、ゾンビ達が断末魔を上げて仮初の生命を終えていく。アンデットの目撃があった拠点をつぶして3つ目だ。合計百体以上いたアンデット達の退治もほどんど終わった。色々と場所がばらけているうえに、王都から馬車を使わないといけない距離のため、アンデット達よりも移動に苦労したものだ。まるで、王都から騎士達を遠ざけるような目撃情報に私は嫌な予感を隠せない。



『なんだ……お前は……化け物か……』

「うーん、リッチって聞いたから警戒していたんだけど、ちょっと弱すぎるな……」



 私は剣を構えながらぼそりとつぶやく。目の前のボロボロのローブを着ている白骨の頭のやつがリッチである。彼? は私を見ながらガクガクと震えている。いやいや、私より君の方が外見だったら怖いよ、傷つくなぁと思いながらも違和感がぬぐえない。



『喰らえ、火よ!!』

「うーん、練度が甘いな、Cランクくらいの強さかな? そんなんじゃあ、リッチになる魔術をつかえないはずなんだけどな……」



 私は、リッチが放った魔術を剣で切りながら進む。そして、彼が再度杖を構えて魔術を放とうとした瞬間に急加速をして、目の前まで移動して杖を蹴飛ばした。



『くそ、こんなはずじゃ……俺は選ばれたんだ。あの人に認めてもらえたんだ……』

「へえ、あの人って誰なのかな?」

『ふん、貴様のようなやつに言うものかよ。死んでもまた戻してもらえばいい』



 その言葉と同時に彼の身体が赤く光る。嫌な予感がした私はそのまま彼の身体を蹴り上げると、余計な肉がないからか、面白いように吹っ飛んでいきそのまま空中で爆発した。

 自爆魔術の威力も中途半端だし、ダンジョンの奥で会ったことのあるリッチに比べるとあまりにお粗末だ。そして、わざわざ、あの人だなんて情報を漏らすあたり知能も低そうだ。強さ的にはリッチとレイスの中間あたりだろうか。Bランク冒険者ならば対処できるだろうし、騎士達でも複数でかかれば何とかなりそうなレベルである。



「自爆魔法か……でも、アンデットとして死んだ者はもう、何をやっても生き返れないって知らなかったのかな? どのみちなんかイヤな予感がするな」



 依頼を終えた私は後の処理を一緒に来た騎士達に任せ、冒険者ギルドに報告をすることにした。セイン君達も無事だといいんだけど。

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