第3話 エレインさんの依頼
個室に案内され飲み物を持ってきたベルが出て行ったのを確認して俺は彼女に話しかける。
「それで依頼というのはなんでしょうか? 冒険者としてではないですよね……やはり俺のスキルに関係することだと思いますが、俺のスキルも万能というわけではないのですが……」
「ふふ、そんなに緊張しなくていいんだよ。Sランク冒険者何ていわれているが将来は素敵なお嫁さんを夢見ている普通の女の子だよ」
俺の緊張が伝わったのか、エレインさんは和ませようとそんな冗談を言ってくる。思ったよりもフレンドリーな人なのかもしれない。正直Sランクというだけで雲の上の人間なのだが……
「君のスキルが万能ではないって言うのはユニークスキルは売買できないって言う事なのかな?」
この世界にはスキルというものが二種類ある。一つはコモンスキル。これは経験などによって開花するスキルだ。例えば剣で戦っていれば「初級剣術」というスキルを覚える。そして、スキルは派生し、「中級剣術」になり、「上級剣術」などになったりする、
そしてもう一つがユニークスキルである。これは10歳の時に授かるその人の固有のスキルである。俺で言えば、このスキルトレーダーであり。たいていの人間はこのスキルに沿った人生を歩むのである。そしてユニークスキルは多種多様で特徴的なものも珍しくはない、だからユニークスキルは売買できないのではないかと聞いてきたのだろう。俺はその言葉に首を横に振る。
「コモンスキルはもちろんユニークスキルも売買は可能です」
「そうかなら……」
「ただし条件があるんですよ。手を失礼します。スキル オープン」
「あっ……」
直接見せた方が早いだろう。俺に彼女に一言断って手を握り、呪文を唱える。すると俺と彼女の脳に直接メニューのようなものが入りこむ。
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『初級剣術 銀貨三枚』
『初級格闘術 銀貨三枚』
『振動』 銀貨三枚』
『高速詠唱 銀貨五枚』
『剣聖ソードマスター 売り切れ』
『妖魔殺し 銀貨三百枚』
『神速 金貨一枚』
『石化の魔眼ゴルゴーンアイ 売り切れ』
etc
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流石のSランク冒険者も初めての経験に驚いたのだろう。エレインさんも困惑の声を上げていた。これが俺のスキルであり、触れた人間にスキルを買ったり、売ったり、貸したりすることができるのだ。ちなみに銅貨一枚でパンを二つ購入できて、銀貨一枚でベルの宿に七日程泊まれるくらいで、金貨三枚が平民の年収だ。
今あるふたつあるこれはコモンスキルだから、平民でもがんばれば払える程度だが、ユニークスキルは無茶苦茶高価だ。一回だけ取引した『剣聖』が金貨五十枚だったな。
「この通りスキルは結構高価なんですよ。しかも、値段は俺が決めているわけではなく、勝手に決まるんです」
これが俺のスキルの使いにくい点である。ザインのやつは俺を金にうるさいといったが、スキルの金額を決めているのは俺ではないのだ。何度説明しても嘘つけと言って聞く耳を持たなかったがな。
俺だってこのスキルに目覚めた当初はスキルを買いまくれば最強になれるんじゃないかと夢見たものだ。だが、初級スキルですら高価なため、俺のスキルを使いこなすのには金がいる。スキルを大量に買って俺Tueeeee!! をするには元手がいるのである。ちなみに実は人間だけではなく異種族特有のスキルも売買できるのだがそれは言わなくてもいいだろう
「スキルを買ったり売ったりする対象のスキルを選んでください。ただその時にはちゃんと現金かそれに類するものが必要となります。また、ショップにあるスキルならば貸すことも可能ですよ。ただ見ていただければわかりますが、レアなスキルを買いたい場合は、かなりのお金が要りますし……そもそもレアスキルを持っている人間を探してこういう風に手で触れないと売買できないんです……ってエレインさん?」
「え? ああ、すまない……その男性に手を触れられる機会があまりなかったからな……」
何やらぼーっとしていたエレインさんに声をかけると彼女は顔を真赤にしてそう言った。急に可愛い事を言うのはやめて欲しい。スキルの説明のために握っていた手を俺は慌てて離す。なんか意識しちゃうじゃないか。
「フフ、説明は聞いていたから安心して欲しい。君の心配は無用だよ。なぜなら売りたいスキルを持っているのは私だし、買いたい人間も大金持ちだからね。ここからの話は内密にお願いできるかな」
「ええ、もちろんです。客の情報を他に流さないのは商売の基本ですからね」
これは商人だった両親の言葉だ。今は亡き二人は口癖のように言っていたので今でも覚えている。もしかしたら俺のスキルが『スキル取引』になっているのも、両親の影響が強いかもしれない。俺の言葉に彼女は満足そうにうなづくとキメ顔でこういった。
「売るのは私のユニークスキル『聖剣の担い手』で買う人間の予算は国家予算と同じくらいさ」
「はぁぁぁぁぁ?」
予想外すぎる言葉に俺は思わず大声をあげてしまった
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