第59話 シータの運命は?!

「キノー!」

ジュウウ…


キノコ型の魔物にアドラメレルの魔法がゼロ距離で直撃し、キノコは闇に焼かれた。


あれは、ウレシイタケか?

まるでケニーを守るかのように突然現れ、身代わりになるなんて…こんな事ありえるのか?


「ふふ…とんだサプライズ…ですね…。」

アドラメレルは上体を起こし、顔を上げてにやついた。


「アドラメレル!こんな状況でまだ笑ってられるのか?」

立てないくらいの瀕死だろうに、まだ余裕があるのかよ。


「たった今放った魔法は、対象を強制的に悪魔に作り替える魔法。このキノコは私の僕と化したのです。」


「そいつを仕向けるか。」


「ジェームズ。あなたは、わたくしをこんな虚言きょげんで騙し、瀕死の…状態まで追い込みま…した。あなたの事が非常に…憎い!せめて闇の力でトドメを刺される事楽しみにしてくださ


ボコォ!


それは闇の炎から飛来ひらいした。

無慈悲なローキックが悪魔の顔面をぶっ飛ばした。


バーン!!

悪魔は祭壇に叩きつけられ、ぴくりとも動かなくなった。


オオオ…


「バーカ。何が闇の力だ。そんなのより、アタシとケニーの絆の方が強いし。」


現れたのは、ウレシイタケに似た帽子を被った長い白髪の女だった。


もしかして…ウレシイタケが悪魔となった姿がなのか?


「そこの人間、あんたもアレの仲間か?」


「勘違いするな!俺はケニーを助けに来たんだ。」


「へー、まあいいや。」

トコトコ

キノコ女は歩き出した。


「おいおい、どこに行くんだ?」


「外」


「…分かった。まずはこいつを着てくれよな。」


俺は着ていたジャケットをキノコ女に着せた。


「おー。スースーしない。お前いい奴だな!気に入った!アタシの一番弟子にしてやろう!焼き鳥の特典付きでな!」


「はいはい…考えとくよ。」


ウレシイタケが元々こんななのか、悪魔化による影響か、果てはこの個体自体がイカれてるのか…


…とにかくこいつは、面白い奴だな。

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