第6話 召喚対象の条件

「対価の2つ目について。願いは1つしか叶えられない。ただし1つを複数人で共有することは可能だ。何が言いたいかというと、この場にいる4名で協力して目標達成を目指すのが最短の解法ということ。確かに1人の取り分は減る。だがその分、リスクも分散される。今の話をどう捉えるかはあなた達の自由だ。危険を冒して単身による目標達成を目指すのもよし。複数人で協力して達成するもよし。なにも強制はしない」


とは言いつつ言葉の端々から滲み出ている。協力しろと。逆を返せば、協力しなければ目標達成など非常に困難だと示唆している。


帝国の首脳陣を抹殺か。


「……………」


1人も4人も大して変わらない気がする。



「では次。なぜ、あなた達が選ばれたか」


3人をチラ見。少々前のめりになったような気がする。


もしかすると、ここからは3人にとっても新たな情報かもしれない。


「ランダムではない。理由が存在する。理由———というよりも、条件か。あなた達はこちらが指定した条件に当てはまった故、この場にいる」


イケメンボーイは相変わらずイケメンフェイスでイケメンヴォイスを披露している。もちろん彼に対して付き合いたいとか結婚したいとか、そういう気持ちはない。俺は女が好きだ。


ただ、観賞用として家に置いておきたいという思いは少なからずある。美しいものに男も女もないのだ。


「条件は以下3つ。魔法への抵抗度が低いこと。健康体であること。そして―――——じしを考えていること、だ」


「「「!?」」」


驚きを隠せない3人に対して、俺はポカン状態だった。


1つ目と2つ目は分かった。だが3つ目はなんだ。じし?そんな単語、あっただろうか。


じし。じし。


「ぼ、ぼくは自殺しようなんて思ったことはない!そんな弱い人間じゃない!」


唐突に一番左の男の子が叫んだ。高校生くらいだろうか。格好いいというよりも、かわいい部類に入るかもしれない。つまりこやつもイケメンだ。


「明確に行動へ移した経験はないかもしれない。だが、こう思ったことはないか。こんな世界終わってしまえ、みんな消えてしまえ、明日なんて来なければいい。つまり、受動的自死だ」


「い、いや。それは………誰でもそうでしょ!僕だけじゃない」


「そうだ。貴方だけではない。だが貴方は、他者よりもその思いが飛びぬけていた。だから召喚されたのだ」


「だ、だとしても、でも……」


モゴモゴと口を動かしているが、言葉は続かない。反論材料がないようだ。


なるほど。


じしとは自殺、つまり自死か。ここにいる面子は全員自殺を考えていたということね。


「………………」


まったく思い当たる節がないな。







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