第53話 愛美

文化祭が終わり次の週末、愛美ちゃんと2人で動物園に来ている。


愛美ちゃんとは是非仲を深めたいと思っていから、向こうから誘ってくれたのは助かった。

なかなかこちらから誘うのも気が引けるしな。


「動物園久しぶりにきた〜!お兄さんはいつぶりー?」


愛美ちゃんは、はしゃぎながら腕を掴んできた。

揺れるツインテールが可愛い。


「いつだろう?覚えてないな〜」

水族館はよく行くけど、動物園には前世も含めて久しくきていない。


「じゃー、私と来たのが最初の思い出だねー!」

あざとかわいい。

いや、渚と違って天然なのかな?あれは完全に養殖物だ、好きだけど。


「お兄さん!見てー!レッサーパンダ可愛い!」


「かわいいね〜」


「カワウソもいるよー!かわいー!」


「そうだね〜、愛美ちゃんの方が可愛いけどね」


「えへへ、ありがとうー!」


「ところで2人で出かけるのは初めてだけど、なんで誘ってくれたの?」


なんとなく普通に約束して、今日2人で来たけど・・・。

愛美ちゃんがどういう意図で誘ってきてくれたのかはわからない。


俺が3人と付き合ってるのはまだ知らないはずだから、もしかして告白だったり?

自惚れかな?好感度は悪くなさそうだけどな。ただ遊びたかっただけかな?


「お兄さんって、美咲先輩と渚先輩と聖奈先輩と付き合ってるんですよねー?」

え、知ってるの?俺言ってないんだけど、他の人から聞いたのか?


「誰から聞いたの?」


「なんか怪しいな〜って思って、美咲先輩に聞いてみたのー!そしたら教えてくれて〜」

美咲か〜、まあ聖奈の時と同じ轍は踏みたくないってことかな?


てか、妹にもバレたのか?親にまで伝わらないかな?

親にバレるのは流石にまずい気がする、あとで聞いておくか。


「3人と付き合う様になった経緯も聞いた?」


「うん!でも3人と付き合うとかお兄さんサイテーだよね〜」

まあ、そうだろうなあ。自覚はある。


「まあ、それは自分でもそうだと思う」


「でも美咲先輩にね聞いてみたの。それでいいんですか?って。なんかすごく幸せそうに、いいんだよって。あとで渚先輩も聖奈先輩にも聞いたら同じ様な返事で・・・」


「うん」

・・・よかった、美咲達そんなふうに言ってくれたんだな。この状況であの子達が幸せなら大満足だ、正直不安はあった。


「お兄さんはそれでよかったんですか?」


「3人とも好きだから。誰か1人を選ぶとかは出来なかったかな。それに全員ちゃんと責任とって将来も養えるように頑張ってるし」


「・・・いいな〜」

お?


「お兄さん優しいし、気を遣ってくれるし、身長も平均以上だし、お金も稼いでるし、めちゃくちゃ良物件だよね」

前半はよかったのにお金て、大事なことだろうけど。


「あと・・・あの美咲先輩にあんな幸せそうな顔させるんだから、大事にしてくれるんだろうなって思った」

まあ、大事にはしてる。


「”あの”って?」


「美咲先輩っておしゃれで可愛くて、スタイル良くて1年の間では憧れの先輩なんだよ?」

へー、そうなのか!まあ、美咲だしな。


「・・・もう3人も彼女いるんだから・・・1人くらい増えても・・・だめ・・・ですか?」


意を決した様な真剣な顔で言われた。

少し頬は赤くなってるな、かわいい。

もちろんおっけーだよ、と言いたいけど。


「ありがとう! 俺は愛美ちゃんのこと大好きだし、こんな可愛い彼女が増えるのは嬉しい。もちろんオッケーって言いたいところだけど、流石に彼女達にも聞いてみないと。付き合うってなったら、あの子達とも一緒になるってことだから」


「あ、よかったー!てっきり断られるのかと思ってドキッとしちゃったー」


「愛美ちゃんのこと好きだから、付き合いたいから、断ったりしないよ」


「じゃあ、お兄さんはいいんですね!私から美咲先輩たちに話してみる!」


「りょーかい!俺もそれとなく話してみるよ。とりあえず、デートの続きしよっか!」


「はい!」

愛美ちゃんは俺の事恋愛感情として好きなんだろうか?

昔から知ってるし、妹と一緒に家で遊んだこともあったけど、なんかきっかけとかあったのかな?


どうせなら転生した時に相手の感情とかがわかるチートが欲しかったな・・・。

でもこれでハーレム拡大できそう・・・かな?3人次第だな。


しかし、聖奈の時もそうだけど女の子に告白させるのは男らしくないよな。

もし次機会があれば自分から言いたい。





「はぁ〜、また〜?」


「そうなんだよね・・・」


ひとまず次の日、学校帰りに渚に相談してみることにした。

多分渚がハーレムに一番寛容だし、受け入れてくれる可能性が一番高い。


「この前愛美ちゃんにね〜、付き合ってどんな感じなのかって聞かれたんだよね〜。だから、なんとなくそうなる予感はしてた〜」

さすが渚だ。


「ごめん・・・」


「浩介は愛美ちゃんのこと好きなんだよね〜?」


「うん・・・まあ、そうだね」


「流石に聖奈の後こういうことが起きるとは思わなかったな〜、ん〜どうしよっかな〜」


「どう、かな?」


「私はもう今更感あるし別にいいんだけど、美咲とか聖奈は嫉妬するんじゃないかなぁ〜」

さすが渚様、心が広い。


「やっぱそう思う?」


「ん〜、でも可愛い後輩だし応援してあげたいな〜。私からも説得してあげよっか〜?」


「ほんとに!?いいの?」


「まぁ、浩介だし。正直こうなるんじゃないかなって心構えはしてたからね〜」

そう言われると心が痛い。


「ありがとう!さすが渚は優しいなあ」


「2人が許してくれるかわかんないからね〜?もし許してくれなかった時の愛美ちゃんのサポート、ちゃんと考えておいてね〜」


「うん、わかってる」


なんとかなるかな?なればいいな。

愛美ちゃん可愛いし、どうにかハーレムメンバーに入れられたらいいんだけど。


渚は本当にいいんだろうか?心が広すぎて逆に不安になる。

美咲と聖奈はどう思うかな、嫌われたりしないだろうか。


・・・まあ、我慢はしない。

投資もハーレムも全部手に入れる。

以前心に決めたからな、どうにかしないと。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る