第59話 悪は殴ってよし

「十三くん。

 状況はどうなっているんだい?」


 セロが、十三に尋ねる。


「こんな言葉を知ってる?」


「うん?」


「『見てわからないものは聞いてもわからない』って……

 僕にもなにがなにやらわからないよ」


 十三がため息混じりにそういうと空から数人の生徒が落ちてくる。


「クソ!!あの爺さん殴ろうとしたらふっとばされたぜ!」


 百道が舌を打つ。


「おじいさんを殴ろうとしたの?

 それはそれでヒーローとしてどうかな?」


 丹歌がそういうと健太が言う。


「悪は即刻、消していいんだぞ?」


「余は一発殴ったぞ?」


 男子学生が胸を張って言う。


「あ。かみさま?」


 丹歌が、そういうとかみさまと呼ばれる男子学生が更に胸を張る。


「そう余はかみさま。

 大神 神。

 余のことは親しみを込めてかみさまと呼ぶがいいぞ?」


 かみさまは、そういってさらにさらに胸を張った。


「えっと殴ったの?」


 丹歌が驚いている。


「うむ。

 だが、案の定吹き飛ばされた。

 分身とは言えフィサフィーだな。

 今の余では勝てん」


 そしてそのかみさまの上に落ちてきた少女。


「あーーー!!!殴れなかった!!!」


 万桜がその場で地団駄を踏む。


「ふふふふふ。

 余は殴ったぞ!」


「あ、かみさま?

 どうして私の下に?」


「余が避ければ主が怪我をするしな。

 どちらにせよ、地団駄は痛いな」


 かみさまが苦笑いを浮かべる。


「あ。ごめん」


 万桜が小さく謝りすぐにその場を離れた。


「気にするな」


 かみさまは、万桜の頭をポンポンと軽く叩いた。


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