第41話 釘

 ――枚方東中学校・体育館裏


「ふふふふふ。

 ねぇ君……

 あたしの胸、触ってみる?」


「え?」


 突然現れた美女に男子中学生が戸惑う。


「きゃは!

 子どもって可愛いわね!」


 美女がそういって指先を男子中学生の手に触れる。


「えっといいんですか?」


 男子中学生はその美女の胸に興味が深々のようだった。


「あは!」


 美女が、そっと男子中学生の耳を噛む。


「え?」


 男子中学生には刺激的だったのか身体が反応する。

 そして……

 美女は、男子中学生の耳に息を吹きかけた。


「あ……」


 男子中学生の頭が真っ白になる。


「ダ・メ・だ・よ」


 そして美女は男子中学生の耳に指を入れる。


「ばーん!」


 美女がそういった瞬間男子中学生の頭が消えた。


「え?」


 それを目撃してしまった女子生徒が声を出してしまう。。


「し、死んでる?」


 女子生徒が涙を流し腰が抜ける。


「うん。

 殺したんだもの。

 死んでいると思うわよ?」


 美女が嬉しそうに笑う。

 女子生徒には、それが恐怖にしか映らない。

 そしてゆっくりゆっくりと女子生徒に近づく。


「いや……

 こないで」


 まわりには、誰もいない。


「ふふ。

 あなたは、どこに穴をあけられたい?」


「いやだ!私は死にたくない!」


 女子生徒が首を横に振って涙を流す。


「ピアスしてみる?」


 美女が、人差し指を上にあげる。

 すると指先から何かが飛ぶ。


 トスン。

 少女の目の前に何かが刺さる。

 釘だった。


 トスン。

 少女の右隣に何かが落ちる。

 釘だった。


 トスン。

 少女の左に何かが落ちている。

 釘だった。


 トスン、トスン、トスン。


 少女のまわりに何かが落ちる。

 それは全て釘だった。


「あ、あ、あ、あ、あ」


 少女は恐怖で言葉が出ない。

 少女は恐怖で意識が途切れそうになる。


「じゃ、バイバイ」


 美女が少女に指先を向ける。


 トスン。


 音だけが響いた。

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