第13話 爆発は芸術ではない

 優は嬉しそうに笑う。

 腕を吹き飛ばされた少年は、涙目で優の方を見ている。


「痛い……痛い……痛い!」


 ただ少年は怯えることすらできなかった。

 他の少年少女たちもなにが起きたのかわからない。


「ねぇ、君たちはどうして僕をイジメるの?」


 優の言葉に少年少女たちは、ただ怯えるだけ。

 逃げようとひとりの少女が走った。

 それに続けとばかりに他の少年少女たちも同じ方向に逃げた。


「よいしょ」


 優は自分の足元を爆発させ少年少女たちの前まで飛んだ。


「な、なんなんだよ?

 お前は……!?」


 ひとりの少年がそう言った。


「そんなことより僕の質問に答えてよ」


 優が小さく笑う。


「そんなのわかんないよ!」


 少女がそう言った。


「『わかんない』かー

 でも、僕にはわかるよ?

 君たちは僕が弱いからイジメていたんでしょ?

 現に僕が力に目覚めたら……

 案の定、逃げる……

 僕に力がなかったからイジメていたんだ。

 だから、僕は復讐する。

 君たちとこの世界に!」


 優は、ひとりの少年の肩に手を触れる。


「なにするんだよ!」


 少年は恐怖を押え優の体を押した。


「僕は、力を得たんだよ?

 選ばれたんだ……」


「お前なんかに負けてたまるかよ!」


 少年たちが一斉に優を殴ろうとした。


「どかん!」


 優のその言葉とともに少年の肩が爆発した。


「あ……ああ……」


 少女のひとりがその場で腰を抜かした。


「僕はね、力を得たんだ」


 優はそう言って倒れた少女の頭をポンポンと叩いた。

 そして、少女の唇にキスをした。


「い、いや……」


 少女は首を横に振り涙を流す。


「僕の能力はね、触れたモノを爆発させる力なんだ」


 その言葉を聞いた少女は、涙がボロボロと溢れる。


「こ、殺さないで……!?

 なんでもするから!

 殺さないで!」


 少女が、優に頼んだ。


「君さ……

 僕が助けを求めているときなんて答えた?」


「……謝るから許して!?

 おねがい!なんでもするか――」


 少女のその言葉を最後まで言うことなく顔が爆発した。


「殺さないよ。

 火傷程度に留めていた。

 君たちは一生、ハンデを背負って生きるんだ」


 優は、そう言ってその場にいた少年少女たちの体に触れていった。

 そして、爆発した。


「はは……ははは!

 あははははははははは!」


 優は楽しくて楽しくてたまらなかった。

 力を得た自分。

 力に目覚めた自分。

 そして、絶対的な可能性。

 自分は、この力ですべてを手に入れる。

 金も女も、今の自分にならすべてが手に入る。

 そんな気がしたから……


 優は、そのまま走った。

 爆発の力に目覚めた優は、周りにいた通行人などを破壊しながら走った。

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