スシネタエレジー

ヒナタジャンクション

第1話 マグロ、めぐる。

「あー…!なんで俺は食われないんだよ!」

悪態をつくにぶい赤。やつの正体はマグロだ。


「まぁまぁ…全然食べてもらえないっていう意味では自分も同じ立場ですし…」

マグロの隣で彼をなだめる紫の物体。


「慰めてるつもりか?甘いんだよ!こっちはもう何時間も食われてないっつの!カピカピだわ!だいたい『ナス』のお前とマグロの俺とじゃ意味合いが変わってくるだろ!」

マグロの不満は一度こぼれると止まらない。

「はぁ…なんだよナスって!なんでシャリの上にナスが乗ってんだよ?」とマグロ。

「いや…僕に聞かれても…」とナス。

「そもそもお前、まだレーンに乗せられて30分くらいしか経ってねぇじゃん。さっきも言ったけど、俺は数時間!マグロだから人気があるはずなのに!」

「希望を持ちましょうよ。もしかしたらカピカピなマグロが好きな人もいるかもしれないし…」

「おいお前バカにしてんのか?ナスのくせに何が希望を持ちましょうだ」マグロは一度喋ると止まらない。海を進むマグロのように…「ナスのくせにとか言わないでください!…あれ?あの人マグロさんに手を伸ばしてません?」

「嘘!?ホントだ!やっと俺が食われ…る…は?」


その手はナスの皿に向けられた。

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