第10話

ファッションビルのフロアには、

色とりどりの浴衣が並んでいた。


「これも可愛いし、あれもきれい。どれが好き?」

「そうだなあ」

「これは?」


手にしたのは紺地に花火柄。


「花火?」

「そう。思い出の花火」


向日葵畑の空と手の温もりを思い出す。


「蒼くんはこれ」


山あいを思わせる深緑だった。

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