第16話

5限が終わり、

建物から出てくる学生もまばらになると、

さすがに今日は無理かもしれない

という気になってくる。


(もう帰ったかな)


文系棟の入口に腰を下ろし、

並木道を歩く学生をぼんやり見ていると、

向かいの図書館の入口に一瞬、

横顔がよぎる。間違いない。

僕はすぐに立ち上がり、走り出した。

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