第3話
慌てて、音を立てないように
席から降りて物を拾い始める。
暗くてあまり手元が見えず、
時間がかかってしまう。
すると、横からスッと手が差し出された。
(あっ……)
差し出された方へ視線を向けると、隣席の男性だった。上映中のため、声を出せない。
慌てて頭を下げて、リップを受け取る。
少し頬が熱い。
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