エルフと大樹と隠れ里
第1回 終わりから始まるストーリー
A.D.2562年、かつて日本と呼ばれていた島国。
北端の地にて今まさに命の灯火が消えんとする二人の男女が身を寄せあっていた。
男の名は獅子王ハヤト。息は荒く口端から痛々しく血を流し、身体中ボロボロで中でも両脚は
女の名はミサキ。ハヤトの身を抱き抱え双眸から水滴を流している。彼女自身も男同様にボロボロで悪の女幹部のようなコスチュームは見る影は無い。
ガラガラと崩壊するのは要塞のような超高層ビルだ、二人のいるヘリポートも崩れ落ちるのは時間の問題だろう。
「・・・もう指の一本も動かないな・・・ミサキ、お前は動けるだろ?一人でも」「無理!」と食い気味に否定する女。
「バカハヤトを置いていけるわけないでしょうが!!いくらアイツを倒すためだからって脚を両方ダメにしちゃうことなかったでしょ!!」
「悪かった・・・でも奴を完全に消滅させるにはな・・・あれくらい叩き込まなきゃ無理だろ。」
「そりゃそうでしょうけど・・・」
燃え上がるビルは既に退路など無い。ヘリコプターでも来ない限りは脱出不可能であろう・・・常人なら。
男はたった今悪の首領である己が【宿敵】を倒したばかりである、要は一般的な勧善懲悪の変身ヒーローのお話の最終回というわけだ。
仮面レイダー
彼はとある最先端化学を扱うラボにて研究員として日々過ごしていたのだが、ある時起きた爆発事故で半身を失う重体となってしまう。だが高度なナノマシンによる全身治療を受け一命を取り留める。
しかし、それは事故も含め【宿敵】による世界征服の尖兵を作り出すという、恐ろしい改造兵士製造プロジェクトの一環だったのである!!
ナノマシンによって全身を強力な幹部級怪人へと造りかえられてしまったハヤトはしばらく己の意識も戻らないままいいように踊らされていたが、ある時同時に出撃していた他の怪人が子供を狙いその魔の手が迫った時に正義の心と意識が覚醒。
見事敵となった怪人を撃破したハヤトは組織の裏切り者となって長き戦いに身を投じることになったのである・・・。
そして現在に至るのだった。
旅の最中で得た仲間、ミサキとともに苦しい戦いを勝ち抜き最後にこの組織のアジトである巨大高層ビルにて【宿敵】を見事撃ち倒し現状のシーンに至るのだ。
「一つだけ心残りあるなぁ・・・」
「心残り?」
「・・・ハヤトと一緒に添い遂げたかった。」
「まさに今だろう?」
「もっと平穏に昔の老夫婦みたいにってことだよ・・・。」
「・・・俺もだ。」
「・・・死にたくないよう・・・。」
「俺もだ・・・。」
それを最後に二人の会話は無くなり、程なくして摩天楼は音を立てて崩れ落ちていった。
ここに仮面ライダーゼロムの長く苦しい戦いは終結したのである!!
テレビの前のお友達の諸君!一年間の応援ありがとう!放送は終わってもゼロムは君たちの中に永遠に残り続けるだろう!!
【新番組、仮面レイダー○○○○にご期待ください!!】
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「・・・・・?ここはどこだ?」
そして俺、獅子王ハヤトは鬱蒼とした森の中で目を覚ました。
ここに俺たちのアナザーストーリーが始まる。
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