転生者、勇者育てるってよ
@bobobobobo
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星の綺麗な夜だった。
月に照らされ、舞い降りる彼女の姿は、どこか幻想的で。
かくして、少女は落ちた。
「というわけで、女の子を拾った」
「はぁーーーーーーーーーーー!?」
ウィルの言葉に、私――――――フィーナの絶叫が木霊した。
幸い、朝の酒場なので人が少ないのが救いか。
「いやいやいやいやアンタ何言ってんの!?どこで拾ってきたの犯罪よ!?」
「昨夜森を散歩してたら落ちてきた」
「女の子は普通落ちてこないわよ!」
「そういうこともあるだろう。思わず親方―!って叫びそうになったぞ」
「アンタ時々変な電波受信するわよねぇ……?」
ウィルは変な奴である。いやいい奴だしカッコイイとこもあるんだけど。何かと突拍子がない。ま、まぁそういうとこも悪くないっていうか?顔立ちとかもいいし?背も高いし?優しいし?
「で、この子を飼おうと思うんだが」
「飼うじゃねぇ!せめて養うとか育てるとかそういう語彙を選べぃ!!」
「むぅ…まだ言語に慣れていないからな…」
難しい顔をして考え込んでしまうウィル。あらそういう顔もステキ…じゃなくって。
「あなた正気?男手一つで女の子育てるだなんて」
「無論問題ない、貯えならある」
「ああそうね、あんた何故かお金とかめちゃ持ってるもんね…」
なんだか知らないけど、ウィルはめちゃんこお金持ってるのである。あと謎の技術的なのもホイホイ使う。テンセイシャトクテン?とかいうものらしいけど、ぶっちゃけよく分からない。
「お金の問題もあるけど、他にもあるじゃない?身の回りの世話とか出来るの?」
「無論問題ない、家事スキルなら習得済みだ」
「まーたよく分からん概念持ち出してからに…」
すきる?とかいうのは分からないけど確かにコイツは家事が出来る。特に料理が上手い。この前なんか手料理持ってったら改善案を羅列された。二度と作ってやらないことにした。
「それに…ほら、女の子だと何かとアレじゃない?色々あるし」
「無論問題ない、そちらも知識として取得している」
「知識じゃなくてモラルの方が問題って言ってるの!」
誰が知識マウント取りに来いって言った!むしろそんなこと知らんでもええわ!私が教えるたるわ!!
そこまで話したところで、ウィルがはたと手を打った。
「そうだ、こうしよう」
「何よ?」
「フィーナ、俺と結婚してくれ」
………………………。
「はぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!???」
本日2回目の絶叫が酒場中に響き渡った。
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