4 ロクサーヌの軌跡

 


 ティーダを先頭にして抜け道を慎重に進む。

 緊張と不安で、永遠に続くトンネルように思えた。出口が見えて来た所で、ティーダが足を止め、振り返る。

 そこに浮かぶ感情は俺達と同じで、緊張と不安だった。

「…様子を見てくるから、ここで待機しててくれ。ティード、クロード達を頼む」

 ティーダの提案に俺達は黙って頷き、兄貴が戻るのを待った。


 時間にすれば十分もかかって無いはずなんだが、ティーダが戻るまでの時間は長く感じられて、落ち着かなかった。

 もし、今、この瞬間に何かしらの外敵に襲われたら…。狭く見通しの悪いこの場所で、少年二人を気遣いながらの対応になる。

 頼りになる兄貴ティーダは居ない。

 …三人分の命が、と自覚して背筋が凍る。


 ティーダは、こんな思いをずっと抱えていたんだろうか…。


 やがて、ティーダが戻ってきて、この道を抜けた先に一軒の平屋があり、住人が居るらしい事が分かった。

 落ちていた棒っきれで、簡単な見取り図的なものを地面に描きながら、ティーダは見て来た広場の様子を淡々と語る。

「…傍まで行って見たわけじゃないから断定は出来ないが、恐らく、住んでるのは単身者だと思う」

「こんな辺鄙へんぴな森に独り?」

 独りで生活するには、便利でも安全でもないこの森で、日々生活出来るなんて、どれだけの手練れなんだ…。と思いながら俺はティーダに確認するように聞き返すと、兄貴はただ頷きつつ答えた。

「ああ、家の大きさも一人用って感じだな」

「…こんな所に住んでるなんて、その人、強いのかな?」

 ティーダの答えに、ディルが素朴な疑問を呟くように言い、それに俺が答えた。

「腕に自信がなきゃ、わざわざ危険な森には住まねぇだろうな」

「……どうすんの? その住人ってのがロクサーヌを殺した可能性が高いけど…」

 黙り込んだ俺達を見上げて、クロードが今後どう動くのかを催促するように問いかけてくる。それにティーダは慎重に答えた。

「断定は良くないが、十中八九そうだろうな…」

「…ここに居ても仕方ねぇんだ、行くだけ行ってみても良いと思うけど?」

 ティーダの答えに、俺は出口の方を見ながら『行く事』を提案する。

 ここまで来たんだ、行った先にロクサーヌのかたきが居るなら、そいつを捕まえて憲兵に突き出し、罪を償わせるのが道理だ。

「そうだな…、この森に迷い込んだ冒険者、ってていで行ってみるか…」


 小屋の住人が敵だった場合、四人で行くと警戒されるだろう、という事になって、俺とティーダで小屋を訪ね、クロード達は繁みの中に隠れつつ、可能なら小屋の死角から軒先まで移動して中の様子を窺う事になった。

「オレたちに何かあったら、直ぐにここから離れて、黒剣騎士団のクエリア・アギヨンにこの森の事を伝えてくれ。オレたちの名前を出せば対応してくれる筈だから」

 二手に分かれる前に、ティーダは『保険』として、クロード達にになった場合の対処を伝え、二人は緊張した面持ちで頷き答えた。

「……ああ、分かった」

「二人とも、気を付けて…」


 抜け道から外れて茂みの中を進むクロード達の背中を見送り、俺達は頷き合うと抜け道を出て小屋へ向かう。『死体置き場』と同じような広さの敷地にこじんまりとした小屋が建っている。

 小屋の裏手には、迫る勢いで樹木が茂っていて、埋もれているみたいだ。

 抜け道の反対側にはここの入り口らしき小道があり、家屋までは十メートルほどの距離がある。

 家屋自体は小さく、陽当りの良い場所には、ちょっとした畑があった。家庭菜園と言える規模だが、何種類かの野菜が実っていて、独りで食べるくらいなら充分な量の収穫がありそうだ。

 小屋の造りは木造、丸太小屋ログハウスと言える。見た感じはしっかりしていて、かなり頑丈そうだ。扉の前はひさしが張り出し、その下はウッドデッキになっていて、端の方に古びた振り子椅子ロッキングチェアが置いてある。


 ここが普通の森なら、のんびりした隠遁生活スローライフが送れそうだな…。


 見えてる範囲にある窓は一つ。カーテンがかかっていて、中の様子は伺い知れないし、人がいる気配もない。用心の為に小屋の裏手の方まで見てみたが、人影は無く、気配も無かった。

 オーク材の扉を前に、ティーダが一息吐いて、俺をちらりと見る。それに無言で頷き返すと、兄貴も頷き、扉を三度叩いた。


 扉は何も答えず、辺りは静まりかえる。


 もう一度、「…すみません、誰か居ませんか?」と声を掛けながらノックするが、やはり誰も答えない。

「…留守、みたいだな」

「あぁ、…らしいな」

 少し安心したように、拍子抜けした、と気の抜けた溜め息をティーダが吐き出し、俺も同じように答えた。


「おんや〜、こんな辺鄙な森にぃ、珍しい…お客さんだわぁ〜?」


「!!………」

 唐突に掛けられた声に、俺達は驚き振り返る。二、三歩離れた背後に人間の老人が立って居た。

 全く気配を感じさせなかった爺さんに、俺とティーダは内心焦っていた。

 目の前の爺さんは年の頃は七十代後半、杖をつき、好々爺の雰囲気を漂わせているが、忽然と現れ、この広場の入口からここまでの十メートルほどの距離を足音一つ立てずに歩き、俺達の背後を取った。


 この森の雰囲気も相まって、目の前の爺さんが放つ異様な存在感に、『殺人鬼足り得る』と、俺達は戦慄したんだ。


「…あ、否、…ちょっと道に迷って、偶然、ここを見付けたんだ」

 穏やかに笑う得体の知れない爺さんに、俺は『設定』を思い出しつつ答えた。俺の答えに爺さんは少し驚いた顔を覗かせて、俺とティーダを交互に見て、笑顔のままで答える。

「ほぅかい、迷い人かね…? ほほっ、冒険者の迷子とは、初めてだわぁ〜。 森ン中歩き回ってお疲れやろぉ、…茶ぁ、飲んで行かんか?」

 思わぬ誘いに俺もティーダも戸惑い、一瞬、返答に窮した。


 目の前の爺さんが殺人鬼だったら…。この誘いは殺意そのものだ。

 だが、ここまで来て引く訳にもいかない。


 返事をしない俺達を、いぶかしげだが笑って見返す爺さんに、ティーダが何時もの調子で答えた。

「それはとても助かります、手持ちの水も底をついてしまって……」

「ええよ~、爺ぃの独り暮しやて、ろくなもてなしは出来んがねぇ〜」

 ティーダに答えた爺さんは、皺の入ったゴツイ手を顔の前でゆるゆると振りながら歩いてきて、『もてなしの中身は期待はするな』と謙遜を示した。

 俺とティーダの間を抜けて扉を開くと、振り返りにこやかな笑みを浮かべたまま、中へ入るように俺達を促す。


 爺さんの後ろに垣間見える小屋の中の様子は暗くてよく見えない。

 ただ、その暗闇が、なんとなくあの世へ続いているようで、半開きの扉の前で笑う爺さんが、死へいざなう死神のように見えて背筋を冷たいものが滑り落ちた。


「お邪魔します!」

 躊躇する俺に先駆けて、ティーダが気軽い様子で答えて、爺さんに続いて小屋の中へ入って行く。俺もそれに続いて小屋の扉をくぐる。

 小屋に入る前、傍の茂みからクロードとディルが顔を出して、小屋のひさしの下に移動して来たのが見えた。

 通された小屋の中は、一間ワンルームと言った感じで、扉のある壁側に窓が一つ、扉を背に立って両側の壁には窓が一つずつ。どちらもカーテンが引かれていて外は見えないが、隙間から外光が差していて思ったほど暗くはない。

 クロード達が居るのは右手側の窓の下だ。


「…こんな森の中じゃから、お客さんなんぞ久々だで〜」

 爺さんは杖をつきながら「茶っ葉が黴びてなきゃいいがの〜」と、快活に笑い、正面の壁沿い、中央に据えられた暖炉兼かまどで湯を沸かし始め、思い出したようにこちらを振り返った。

「あんたら、儂の茶ぁは香草ハーブ入りやで、ええかね? …おぅ、適当に座って待っとってくれんかの」

 そう言いながら食器棚へ行き、入り口に突っ立ってる俺達に、椅子に掛けるように勧めてきた。その声掛けにティーダは素直に従い、入り口近くに据えられた二人掛けのテーブルの椅子を引き出して遠慮がちに腰掛ける。

「…あ、はい。…頂けるのであれば」

「……構わなくていいぜ、少し休ませて貰えたら、それで」

 爺さんに促されて従ったティーダに対して、俺は椅子には座らず、入口付近に立ったまま小屋の中を見回す。

 暖炉兼竈の左側、少し間隔を置いて何かを祀った祠があった。左側の窓の前には簡素なベッド、小さなサイドテーブルがある。暖炉の前に一人掛けのソファ、その後ろに二人掛けのテーブル。暖炉の右側には勝手口、それを挟んで食器棚とその下に食料庫パントリーと飲料水用の樽。食器棚の対面に入口、といった具合だ。

 風呂などの水回りが無いから、それらは外の何かしらで賄っているんだろう。


 この中で荒事になった場合、ティーダのバスターソードは使えないな…。


 俺が部屋の中を観察してる間にも、ティーダと爺さんは他愛のない世間話をしていて、俺達がどこから来たのか、どこのギルドに所属してる冒険者なのか、なんの目的があってこの森にやって来たのか、やたらと根掘り葉掘り聞いてきたんだが、それをのらりくらりと受け流し、『ギルドの〈金蝶花〉の採集依頼』でやって来た、と、嘘だが支障のない範囲で答えるティーダの対応と話術は、さすがだなと思った。

「…この森は獰猛な動物や危険な植物も生息してるって聞いたんですけど、独りで暮らしてて危なく無いんですか?」

 ティーダが、竈の火加減を観ながら薪を火掻き棒でつつく爺さんに、新たな話題を投げた。

「うん? …そうだのぉ〜、儂も若い頃にゃぁ、ちったぁ腕の立つ狩人だったからの。…我が身くらいは守れとるし…、そこらじゅうに罠を仕掛けとるでぇ、なんとかなっとるの…」

 そう言って「ほっほっ」と笑う。

 じいさんの口から出た『罠』と言う単語に、俺達は互いに視線だけで頷き合うと、俺が興味有りげを装い更に質問を続ける。

「…罠って、例えばどんなやつなんだ?」

「なぁに、初歩的なもんじゃよ…。引っ掛かるようなもんじゃぁない、あんたらが引っ掛る心配はないわぁ〜」

 俺の態度に気を良くしたのか、爺さんは得意気に笑う。

「……へぇ」

 あくまでも、好々爺の仮面を面に貼り付けて答えた爺さんの台詞に、俺は『……簡単な罠、…ねぇ』と内心で独り言ちた。爺さんの言葉を信じるなら、『ある程度の冒険者なら』掛かってしまう可能性のある罠が、そこらじゅうにあるって事だ。


 ロクサーヌの腕の傷は、やはり、罠にかかった時のものだったんだろう。

 おそらく、ティーダも俺と同じ事を考えたんだろうな、最近の来客に話題を切り替えた。


「この森には金蝶花の群生地があるみたいですけど、オレたちみたいな冒険者が来ることって、よくあるんですか?」

 ロクサーヌとの接点を探る意図を感じ取って、俺は黙ってティーダと爺さんの会話を聞くことにした。

「……ん〜、入り組んだ森だで、あんまり人は来んわぁ〜。あんたらみたいな人族を見んのも久々やわ」

 ティーダの質問に、爺さんは穏やかに笑って答え、その後、どれくらいの期間見てないか聞くと、この五日以内に俺達以外の人族は見ていない、と答えた。

「…そうですか。…あの、奥にある祠は?」

「ん? あぁ、ありゃ、イーヴ様を祀っとる」

「!……」

 爺さんの口から出た『イーヴ』の御名みなに、俺達はそれぞれに目の前の爺さんが殺人鬼だと確信した。


 ここからは、更に慎重に動く必要がある。

 ティーダをちらりと見下ろすとヤツの横顔には緊張が浮かんでいた。


「おや…、あんたぁ、ティダンの神官かい?」

 ティーダのチョーカーに連なる太陽神ティダンの聖印に気付いた爺さんは、それを指差しながら尋ねてきた。それにティーダはなるべく穏やかな声音で、神官プリースト然として応じる。

「ええ、そうです。家の中に祠とは、熱心ですね」

「おお、まぁ、神殿も遠いでなぁ〜」

「そうですね、その足では新市街までは大変でしょうし。ここに祠があればいつでも祈りを捧げることが出来るし、良いですね。…お一人で暮らせているのも、イーヴの加護のお陰でしょう…」

「…ほほッ、…だとええがのぉ…」

 ティーダの言葉に爺さんはニコリと笑う。


 やがて、湯が沸き、爺さんが竈の縁で急須ティーポットに茶っ葉を入れ、湯を注ぎテーブルまで持って来て、それを置くと食器棚からカップを二つ出して来てテーブルに置く。

「粗茶やが、あんたらの口に合うといいがの…」

 そう言いながら、俺達の目の前でティーポットから茶をカップへと注ぎ入れると、湯気とともに、なんとも言えない独特の香りがたつ。

 茶を注ぎ入れた後、爺さんは覚束ない足取りで暖炉の前のソファまで行き、ゆっくりとした動きで腰掛けて「どうぞ、召し上がれ…」と笑った。

「…あ、…ありがとうございます」

 ティーダがそう言ってカップを手に取り、口元へ持って行ってから、眉根を顰めて離した。

 それを見下ろし、俺は立ったままカップを手に取る。確かに香草ハーブが入っているからか、独特の香りを漂わせている。

「どうしたね? …匂いがキツイかもやが、馴れると美味うめぇよ」

 微笑みながらそう言って、爺さんは自分用に煎れたハーブティーを一口飲んだ。


 このまま飲まないのも怪しまれる…。が、が盛られてる可能性が高い。


 一か八か、俺はそれを口元ヘ持っていく。

 眼下では、相変わらず、ティーダがいぶかしげに、鼻をスンスンと鳴らして茶の匂いを嗅いでいる。唇を湿らす程度を口に含んだ瞬間、ティーダが立ち上がり叫んだ。

「…駄目だ! 毒が入ってる、飲むな!!」

「ッ……!?」

 ティーダが有無を言わさず俺の手を掴み、カップを払い落とした。床に落ちたカップは甲高い衝突音を発して砕け、形を失った茶は床に拡がり、黒く染め上げる。

 ティーダの制止のおかげで、俺は毒入り茶を極少量飲むに済んだが、それでも、即効性の猛毒で舌はたちまち痺れて感覚が無くなり、視界が霞む。

「ふっ…ハハッ、ハハハッ! ザマァみろ!! …騙されん! お前らになぞ、騙されんぞぉぉぉ!!」

 爺さんが突然立ち上り、妄言をわめきながら隠し持っていたショートソードを振りかざし、俺達に襲いかかって来る。


 好々爺の仮面を剥ぎ取り、その下に隠した殺人鬼のおもてには、狂気と恐怖がい交ぜとなった異様な形相があった。


 毒入りの茶のせいで身体が思うように動かないが、なんとか剣先を避け、ティーダの咄嗟の判断で奴がナイフを抜いて、爺さんの剣を受け止め、そのまま力尽くで爺さんの手から剣を弾き飛ばした。

 その隙に俺達は小屋の外へ飛び出す。

「ティードッ、無事か!?」

「あぁ! なんとかなッ!!」

「ロクサーヌさんを毒殺、遺棄したのはあの老人に間違いなさそうだな…」

「あぁ、…俺達と同じように茶に毒を混ぜたんだろうな。それに、なんか…わけ分かんねぇ事を叫んでたぞ?」

「……おそらく錯乱状態だと思う。…あそこまでだと正気に戻すのは難しいな…」

「気絶させられれば御の字、…最悪、殺すヤルしかねぇだろうな」

 そんな事を話しながら態勢を整えて周りを見回すと、クロード達は軒下から移動して、繁みの奥に身を潜めていた。手でそこに留まるように合図サインを送り、それに二人は黙って頷いた。


 いくらなんでも、あいつらにはさせたくないからな…。


「極力、生け捕りで行くぞ!」

「あぁ、ってか、お前…手加減出来んのかよ…?」

「…ま、善処はするさッ」

 そう言ってティーダは上半身を震わせ、獣変貌するとバスターソードの鞘を払い、俺は拳を構え、小屋から出て来た妄信者と対峙した。



 爺さんとの決着に、それほど時間はかからなかった。


「……終わりだ、…世界がッ…、終わるッ! この世は魔物の手に墜ちた! 全てが滅びるのだァァァ!」

 天を仰ぎ、呪いの言霊ことだまを放ちながら妄信者は絶命した。膝から崩れ落ち、地面に突っ伏し倒れる。とどめを刺したティーダは、その姿を肩で息しながら眺め、そこから二、三歩後退り、茫然と立ち尽くした。

 奴の手から剣がスルリ、と落ちる。


 後味の悪い幕切れだった、致し方ない事とはいえ、の命を奪う事になるとは、思いもしなかった。

 俺達が『人族ひと』を殺したのは、これが初めてだった…。


 妄想に取り憑かれた爺さんは、俺達が思いもしないほどの力と勢いで容赦なく襲って来て、最早、『人』では無くなっていた。覚悟していた事だが、手加減していたら、俺達が殺さヤラれていた…。


「……オレ…は…」

 か細い呻きのような呟きが、ティーダから漏れた。兄貴は震える両手を見詰め、今にも泣き出しそうな顔をしている。


 人族ひとを守る為の戦士であり、人族ひとを救う筈の神官が『人』を殺めた。その事実はどれほどの悔恨を兄貴ティーダの心に刻みつけたのか…。


 掛ける言葉が見つからず、立ち竦むティーダの後ろ姿を眺めていると、足元に突っ伏した爺さんが動いた気がした。

 注意深く見ていると、爺さんの体が幽かな光に包まれ、手が剣を握り直し、今際の際の顔が持ち上がる。

「…ぐっ、……儂が…キサマらなぞに…!」

 死んだと思った爺さんは最期の力で起き上がり、這いつくばるような低い姿勢のままティーダに切り掛かる。

 それと同時に俺はティーダに駆け寄り、後ろから奴のコートの襟を掴む。


 迂闊だった、住まいの中に祠を祀るほどの熱心な信徒だ、天啓を受けていたなら、この爺さんは『祈り』で回復出来る可能性がある。

 さっきの光は、爺さんが無意識に行使した神聖魔法だったんだ。


「ティーダ! ぼんやりしてんなッ、まだ終わってねぇ!!」

「!…」

 茫然自失のティーダを引き寄せ、爺さんの剣先を避けさせると、そのまま後方ヘ投げ飛ばす。

 後ろへ投げられた兄貴は、覚束ない足取りで膝から崩れてその場に座り込んだ、未だにぼんやりしていて使い物にならない。

 

 なら、止めは俺が刺す。


はらを決めて、爺さんのくびを折るつもりで、俺は渾身の一撃を繰り出した。


 悪いな、爺さん。

 俺は兄貴ティーダと違って、俺達に仇なすモノをすることに躊躇はしない。


森の湿った空気を切り裂いて、俺の脚が爺さんの首元に目掛けて弧を描く。


 ゴキッ…。


 鈍い衝突音が響いて、白目を剥いた爺さんの頸が有り得ない角度に曲がる。俺自身にも相応の手応えがあった。そのままの勢いで脚を振り抜き、爺さんを薙ぎ倒す。

 地面に突っ伏した爺さんは、それ以後、動かなくなった。


 …狂人相手だったとはいえ、遂に人殺しか…。


 そんな事を思いながら、爺さんの遺体を眺める。後味の悪さは今までに感じた事が無いほどだが、『殺人』を犯してしまったショックで心神喪失とまでいかないのは、俺の感性が狂ってるのか、そもそも爺さんを『人族ひと』だと思っていなかったのか、なんだろう。

 やっぱり、ティーダとは違うんだな…。なんて事を改めて自覚して、振り返れば兄貴ティーダはなんとも言えない顔をして俺を見上げていた。

 そこにあるのは、やはり、後悔と戸惑いだろう。


 俺を人殺しにしてしまった、と悔やんでるんだろうな…。


 繁みの奥に居るクロード達に、出てくるように合図を送り、未だに項垂れ座り込んだままのティーダに、俺は一息吐き、「…いつまで座ってるつもりだ?」と声を掛け、兄貴の元へ歩いて行く。

「あ…、うん。……済まない」

 答えたティーダの俺を見上げる眼には、なんとも言えない感情が宿っていた。

 それを見下ろして、俺は暗示をかけるように言い放つ。

「あの爺さんに止めを刺したのは、お前は誰も殺していない。…いいな?」

「しかし…」

!」

「……、…分かった」

 半ば強制のような事実確認だった。

 納得はしていないようだったが、ティーダはいつものように譲歩し、申し訳なさそうに俯いた。


 兄貴ティーダを穢す訳にはいかないんだ。

 俺達のよすがは、鬱陶しいくらいに正しくて、真っ直ぐで真っ白な存在でないといけないんだ。


 汚れるのは、俺だけでいい。


 項垂れるティーダを眺めて、いつもよりも小さく見える兄貴の背中に『早く立てよ…』と言いかけた時、背後の少年達がにわかにざわついた。

「ティードッ! こいつまだ息がある!」

「動けないみたいだけど、微かに息してるよ!!」

「はぁッ!? しぶとい爺さんだなッ!!」

 クロード達の言葉に振り向き、俺は辟易したと返し、彼等の所へ一歩踏み出そうとした瞬間、先に動いたのはティーダだった。

 さっきまで放心状態だった奴とは思えないほどの敏捷さで立ち上り、爺さんの元に駆け寄ると、突っ伏したままの爺さんの両腕を後ろ手に縛り、脚も動かないようにロープで拘束した上で、何を思ったのか祈りを捧げ始めた。


 倒した敵を回復するなんて、気でもふれたか!?


「何してんだよッ!」

 どう言うつもりなんだ、とティーダの肩を掴んで止めさせようとするが、それは思いもしない反発を呼んだ。

「煩いッ! 黙れ!!」

「……ッ!?」

 今まで見たことのない険しい表情で振り返り、俺の手を払う。その勢いに俺は戸惑って一歩引いてしまった。

 驚く俺を気不味そうに見上げ、再び爺さんに向き直り、ティーダは祈りを捧げ始める。

「お前をにはしない! 絶対に命だけは助ける…、罪は償わせるッ!!」

「………」

 兄貴の思い詰めた横顔を目の当たりにして、真意を垣間見て、俺は何も言えなくなった。


 妄想狂いの爺さん相手の正当防衛だとしても、殺人は殺人だ。そこらの蛮族を殺すのとは、訳が違う。

 いかに冒険者であっても、人族こちら側に居る以上は、人族社会の秩序こちらのルールの中で行動しなくてはならない。


 如何なる理由があろうと、殺人は最も重い罪だ。


 成り行き上とは言え、その罪を俺に背負わせてしまった後悔を濯ぐ為、俺のこの先の人生を守る為、そして、何よりも爺さんに罪を償わせる為の行動なんだろう。



 ティーダの祈りが太陽神ティダンに届いたのか、爺さんは一命を取り留めた。

 目覚めて開口一番、わけの分からない事を喚いたから、手刀で気絶させてから小屋の中に運び、シーツを剥いだベッドの上に放置した。


 剥いだシーツはロクサーヌの遺体を包む為に拝借するんだが、罰は当たらないだろう。


「取り敢えず、ここに寝かせて置けば、野生動物に襲われる事はないだろう…」

 ベッドに横たわる爺さんを見下ろして、ティーダが淡々と言った。何時もならティーダのおもてには、いくばくかの慈悲があるんだが、今回ばかりは見当たらない。

 兄貴の言葉に、そこまで温情を掛けなくても…、と思いつつ答える。

「外に放置で良かったんじゃねぇか?」

「それだと、憲兵達が来る前に襲われて死ぬかもしれないだろ…。それじゃ、生かした意味が無い」

 憲兵が来るまで、保つかどうかも怪しい状態だけどな…。と思ったんだが、それは言わないことにした。

「……別に、そうなったらそうなったで、この爺さんには相応しい最期だと思うけどな」

 ベッドの上の爺さんを見下ろして答えると、ティーダは微妙な顔をして一息吐いた。


 俺の、他人に対する薄情さに呆れたんだろう。そんな表情かおだった。


「なぁ…、こんなもの見つけたけど」

 俺達が爺さんの処理をしてる間に、小屋の中を探索していたクロードとディルが、爺さんの手帳らしき物と花籠を持ってきた。


 手帳の中を確認すると、そこには爺さんの妄想が書き連ねてあって、内容といえば、この街のどこかにあるらしい地底湖に、古代の魔物が巣食っていて、人々を洗脳し眷属にしている。だとか、ここを訪れた善良な人々を魔物の手先と思い込み、抹殺した経緯が克明に記されてあって、胸糞悪い。

 最後の記述は三日前で、ロクサーヌに関するものだった。


「この花かご、ロクサーヌのものだから持って帰って良いよね?」

 涙で濡れた目をして、ディルが手に持っていた籠を差し出した。

 それを見ると、中には〈金蝶花〉が入っていて、数日前に摘まれただろうに、摘みたてのように新鮮なままで、ロクサーヌの想いがそこにあるように思えた。

 見上げるディルに、俺は彼の肩を撫でて慰めるように答える。


「ああ、帰ろう。ロクサーヌと一緒に…」






【攻略日記:雑感 六日目 03〜七日目01】


saAyu:いやぁ〜、今回のエピソードは長かったですね〜。

ティード:…ミッションとクエストを合わせて書いてんだろ? そりゃ、長くなんだろ…。(呆れ)

ティーダ:それぞれで一話ずつ書ける内容だからな…。(苦笑)

saAyu:ですね〜、まぁ、行くとこが同じなんで、小説の方は、まとめてしまってもいいかと思いまして(苦笑)

ティード:『2.流民街の兄妹』『3.恐ろしの森』『4.ロクサーヌの軌跡』で三万字超えてんじゃねぇか…。

saAyu:ですね〜、長ったらしいですね〜。(苦笑)

 元々、『3.恐ろしの森』と『4.ロクサーヌの軌跡』で、一話の予定だったんですが、雑感も入れると確実に二万字超えるので、急遽、分けました(苦笑)

ティーダ:ゲーム攻略で言えば、六日目の最後に【ミッション09:エミーを救え】で、七日目が『ゼシカのクエスト:ロクサーヌの捜索』なんだよな?(攻略ノートを見てる)

saAyu:です。

ティード:余計なの(メリル親子との遭遇)入れなきゃ、もう少しコンパクトに纏まったんじゃないか?

saAyu:まぁ…そうなんですが、メリル親子との遭遇は、ティード君あなたを【流民街】へ連れてくための動線だったんですよ。モノローグで思いっきり行くことを拒否しちゃってる貴方を、強制的に【流民街】へ足を踏み入れさせるには、ティーダさんのに巻き込むしかないな、と。(ニコッ)

ティーズ:………。

ティーダ:なんか…、すまん。

ティード:……別に、お前が謝る事じゃねぇだろ。……実際に行ってみて、思ってたよりも嫌じゃなかったし。

saAyu:それは良かった! では、振り返りを始めます〜。

ティード:まずは、【ミッション09:エミーを救え】だな。…詳しいクリア条件は割愛するが、これは期限付きだったんだよな?

saAyu:そうです〜、いやもう、これがギリギリでね〜。13日の5時までに【流民街】に戻らないといけないって言うものでした。

ティーダ:受注したのが、12日の15時だったんだよな…。

saAyu:そうです。【戦士の丘】でランダムイベントが起きちゃって、時間食われちゃいましたね(苦笑)【流民街】ではランダムイベントは起きなかったので、助かりました〜。

ティード:ん? ……なんだよ、そのランダムイベントって。

ティーダ:初耳だな……。

saAyu:あ、お話ししてませんでしたかね? 特に言及はしてなかったんですが、各パラグラフに足を踏み入れた際に「!1〜4」ってアイコンがあると、1d6して、1〜4が出たら起こるイベントのことです(5と6なら何も起こらない)。

 今までにも何回か起こってたんですが、大したエピソードにもならない『ちょっとしたレクリエーション』みたいなもので、基本、割愛してきたやつです。なので、今後も本筋に関係ないランダムイベントはざっくり割愛します!

ティード:…『ちょっとしたレクリエーション』って、がっつり戦闘とかあんじゃねぇか!(なんか見たらしい…)

saAyu:まぁ…、ありますね(【戦士の丘】でのランダムイベントは魔神との戦闘でした)。

ティーダ:…ユーニとの出会いは【鍋底】に行った時のランダムイベントだったんだな…。(ヴァイスシティ本書と攻略ノートを見てる)

saAyu:あ、そうなんです〜。小説内での順序はちょいと弄ってますけどね〜。(ニコッ)

ティーズ:………。

saAyu:さて、そろそろ本題に戻っていいですか〜?

ティーダ:えっと、ミッションで行く場合は即座に「26−6.金蝶花の野原」に到着して、「アンデッド遭遇表」を振ったんだな?

saAyu:そです。この時の脅威度は7.1、出目が③でしたので、スケルトンヘビーアーチャー(魔神化一段階)となりました。

ティード:魔神化一段階だが、確か、俺らとレベルがそんなに変わらなくて、速攻で終わったんだよな。

saAyu:そうです、ティード君の初手が出目⑫でクリティカルして大量ダメージを与えて、2ラウンドで終了したので、割愛します。

ティーダ:まぁ、文字数が増えるだけだからな…。いいと思う。

saAyu:とりあえず、敵データだけ書いときますね。


【スケルトンヘビーアーチャー】戦

 【6レベル 命中9(16)/打点2d+9/回避7(14)/防護点6/HP52/MPナシ】

 魔神化一段階(HP、MP+5/固定値上昇(命中力+1、弱点値+3、先制値+2)魔神化能力/腕が生える)

 ティードの初手クリティカル(その後も良い出目)による大量ダメージで2ラウンドで終了したため、割愛。


saAyu:戦闘後、金蝶花を7個入手しましたが、これだけでは足りないので、薬草師さんを探して森の中をうろうろして、「11.南東の森」で薬草師さんに出会えたので、不足分を購入して、一旦、【流民街】へ戻りました〜。

ティード:結構、時間も余裕無かったんだよな…?

saAyu:そうですね、薬草師さん探しで時間取られて、【流民街】帰着は25時でした(苦笑)

ティーダ:また随分と深い時間だな……。

saAyu:でも、期限内ですから、問題無しです! あと、エミーの病気はね、聖神魔法の【キュア・ディシーズ】で治せばクリア出来たんですが、達成値が高すぎて、ティーダさんの魔力では6ゾロ(自動成功)でないと達成出来ないって言う…(苦笑)

ティーダ:ファイター重視の成長だからな…(苦笑)。それに、フェローのオレは、ゲーム内ではフェロー表内の行動しか出来ないからな…。

saAyu:ですね〜、なので、小説内では随分と歯痒い思いをして貰ってます…、すみません。

ティーダ:…いや、まぁ、ルールだから。仕方ないさ。

saAyu:……(思いっきり、ゆるゆるな運用してるけどね〜…)。それでは、ミッションクリアしたので、成長報告どうぞ!

ティード:経験点がそんなになかった(★8個=1600点)けど、俺は生命力が上がって、デーモンルーラーを2レベルから3レベルに上げた。残りの経験点は次回持ち越しだ。

ティーダ:俺は技能二つを上げるには経験点が足りなかったから、そのまま持ち越しにして、精神力が上がっただけだな。

saAyu:はい、どうもありがとうございます! で、ゲーム内の翌日(13日目。ゲーム攻略としては七日目)は、【戦士の丘】経由で【恐ろしの森】でゼシカさんのクエストです!

ティード:小説内ではクロードとディルが一緒だったが、勿論、ゲーム内では同行しない。なんか、もう、オリジナルNPC投入やシナリオの設定改変も躊躇しなくなったな…(メリル親子やディルとか…)。

saAyu:まぁ、リプレイなので(ニコッ)

ティーダ:どうして、クロードたちを同行させることにしたんだ?(ちょっと怒ってる)

saAyu:まぁ、お話し的にあなた方二人だけだと、淡々とした展開になるだろうな〜と思って。あとは、ティード君の心情的な変化を書きたかった、からですかね〜(最初の頃から比べたら、丸く大人になってる部分もあるよ、って描写をしたかった)。

ティーダ:なるほど…。

ティード:それで一万五千字超えてんだろ?(呆れ)

saAyu:良いんです、私が読みたいと思ったんですから!

ティード:はいはい……。じゃ、【恐ろしの森】二日目の振り返りだな。まずは…、南東エリアからのアタックになったんだな?

saAyu:はい。【恐ろしの森】へ繋がるパラグラフが南東エリア側に隣接してるので、そこから入ることにしました。

ティーダ:「11.南東の森」では「10.仕掛けられた罠」か「5.深い森(b)」へ行けるんだったな?

saAyu:です。出目①〜③なら「10.仕掛けられた罠」へ、出目④〜⑥なら「5.深い森(b)」へ行くことにして、ダイスを振って「10.仕掛けられた罠」へ進むことになりました。

ティード:ここには罠があって、「罠決定表」を振って、出目④「毒ガス」「2d+冒険者レベル」点のダメージ9点を受けた。毒の効果は【アンチドーテリング】(達成値21以下の毒属性の効果に自動的に成功)の効果で無効って事にしたんだな?

saAyu:です。毒の達成値が15だったんで、無効で良いんだよな〜? って(苦笑)

ティーダ:さらに、ここでは探索判定(目標値A/13)に成功して、踏みにじられた〈金蝶花〉と南へ続く血痕を見つけて、南「13.森に埋もれた小屋」へ向かうことにしたんだな。

saAyu:はい。ここでエドガーさんと邂逅、歓待(危険感知判定(目標値B/15)→ギリギリ成功!)を受けた後、戦闘になりました〜。

ティード:俺達にとっては初めての『人族の敵』だったな。

ティーダ:……ああ。


【エドガー】戦

 エドガーのデータは、ルルブⅠの471頁「腕利きの傭兵」に神聖魔法4レベル(魔力7)です。エドガーはイーヴの聖印を持っていますが、本人の知らない所で狂神ラーリスに変化しています。

 ※腕利きの傭兵のデータはルルブⅠ471頁を参照。各判定は固定値を使用。   

 ※ティードの初手は【鎧貫きⅠ】を宣言するものとして扱います。


◆1ラウンド目

 こちらからの先攻で、ティードの初手は当たりますが、二撃目は回避されて、結局【5(出目⑨)+8(追加D)=13】そこから敵防護点3点(鎧貫き効果で半減)の10点の確定ダメージ。

 ティーダの出目は⑥で神聖魔法【レイ】の出目。


saAyu:さて…、ここで初めて使う攻撃魔法【レイ】(ティダンの特殊神聖魔法)なんですが、これ、魔法の形状が『貫通』なので、まず、目標の決定が必要になってきます。

ティーダ:対象は『任意の地点』だから、敵後方エリアとしたぞ? オレが乱戦エリア内(フェローは基本的にPCと同一エリア)に居ることになってるから、同エリア内のキャラクター(この場合はエドガー)は選べないみたいだから…。

saAyu:ですね(敵後方エリアにエネミーは居ないけど…、任意のだから…、まぁ、いっか)。で、ティーダさんは乱戦エリア内にいるので、ここは『巻き込まれた』ことにしました。では、ティード君! 『巻き込み判定』どうぞ!

ティード:1d6で出目①〜③ならセーフ、出目④〜⑥ならアウト、だったな。……(渋々ダイスを振る)よし! 避けたッ!!

saAyu:では、敵側のエドガーさんの分を…、巻き込まれちゃいましたね〜。

ティーダ:えっと…、ここで達成値の比べ合いだが…、フェロー表の達成値は18だな。

saAyu:え〜っと、エドガー(腕利きの傭兵)さんの精神抵抗力の固定値は14なので、抵抗出来ませんね〜。


 と言うことで、エドガーは【7(出目⑫)+4(出目⑧)+8(魔力)=19】を丸っと受ける事になります。エドガーの残りHPは23。


ティード:……えぐっ(HPの約4割持ってった……)。(戦慄)

ティーダ:…お前を巻き込まなくて良かったよ。………(クリティカル…怖い)。

saAyu:う〜ん、次のレベルアップ時にフェロー表を見直しますか〜。(貫通の処理が面倒くさい)


 エドガーの反撃ですが、ここは【キュア・ウーンズ】で自身を10点回復、残りHPは33、MPは9。


◆2ラウンド目

 ティードの攻撃、初手、二撃目共に同値回避(命中判定15)で避けられてしまいます。

 ティーダの攻撃は【魔力撃】を選べる出目。【6(出目⑩)+5(出目⑧)+8(魔力)+10(追加D)=24】から敵防護点5点引いて、19点の確定ダメージ。エドガーの残りHPは14。


 エドガーの反撃ですが、やはり、自身を回復。出目が良く12点回復、残りHPは26、MPは6。


saAyu:2回連続でクリティカルとか、この時のティーダさんの出目は神ががってましたね〜。

ティーダ:…うん。怖いくらいだな…。

ティード:俺の出目は振るわないみたいだかな〜。

saAyu:サーセン…(てへぺろ)

ティード:………(イラっ)。


◆3ラウンド目

 ティードの攻撃、初手は余裕で命中させ、【3(出目⑥)+8(追加D)=11】敵防護点3点引いて、8点の確定ダメージですが、二撃目は避けられてしまいます。

 ティーダはお休み。


 エドガーの反撃ですが、攻撃に転じた所で、避けられるので、自身を11点回復。残りHPは29、MPは3。


◆4ラウンド目

 ティードの攻撃、初手【3(出目⑥)+8(追加D)=11】防護点3点引いて8点確定、二撃目【7(出目⑫)+5(出目⑨)+8(追加D)=20】敵防護点5点引いて15点、合計23点の確定ダメージ。

 ティーダの攻撃はマルチアクションを選べる出目、まず、ティードを回復(罠にかかった時の分)でティードは全回復。続いて、エドガーを【近接武器】で攻撃。【3(出目⑤)+10(追加D)=13】ここから敵防護点5点引いて8点の確定ダメージで、エドガーを倒しました。


ティード:なんだかんだ、爺さんが消耗するだけの戦闘だったな~。

saAyu:まぁ、レベルが1しか違わないですしねぇ…。エドガーさん倒して、彼の小屋で「エドガーの日記」(精神抵抗判定(目標値B/15)→成功)と「女神官のかご(〈金蝶花〉5個)」を発見、入手しました。

 いや〜、最後のラウンドはティード君がクリティカルして、大量ダメージでしたね〜。

ティード:まぁ、出目が良ければ、こんなもんだ。(隠しきれない『どやっ』と感)

ティーダ:しかし、敵とはいえ、人族相手は複雑だな…。

saAyu:まぁ、ゲームですから…、そこは割り切って頂いて。小説の方は、一応、生かしてますけどね。

ティード:生かす必要あったか? 妄想狂いのサイコ爺だぞ?

saAyu:身も蓋もない言い方しますね〜(苦笑)。まぁ、事実ですが…。小説内でも語ってるように、罪は償わせないと。と、思いまして。エドガーさんが『人族』である以上は、それが道理なので。

ティード:タイタスは見逃したのに?

saAyu:うん、ソレは事情が違いますから、別の話です(生け贄=見殺しにはしたけど、直接、手を下した訳ではない)。エドガーさんは情状酌量の余地がない(自分の都合で、自ら手を下してた)。

ティーダ:そうだな。それに、あのまま死なせてしまっては、オレたち自身の心情的にも後味悪かったしな…。蛮族は『人族の存在オレたちを脅かす脅威=敵』だが、あの老人は精神的に問題はあったが『人族』だったからな。

ティード:ま、俺はどっちでもいいけどな。

ティーダ:……。で? この後は「10.仕掛けられた罠」へ戻って、西へ向かったんだな?

saAyu:そです。「10.仕掛けられた罠」は罠の存在は無視しました(一回かかってるし、処理が面倒…)。その後、「10.仕掛けられた罠」→「9.森の川辺」で〈金蝶花〉3個を入手、→「8.森の脅威」でサンドウォームに遭遇、戦闘(割愛)、→「12.死体捨て場」で、またしてもスケルトンヘビーアーチャー(魔神化1段階)と遭遇し、戦闘(ここも割愛)。ここでロクサーヌさんの物と思われるハルーラの聖印を発見して、【流民街】へ戻りました! いや〜、長かった〜。

ティード:帰りは来た道を戻ったから、敵やら罠やらを無視してたけどな…。

saAyu:だって、面倒だったんだもん…。戦闘とか罠の処理とか。一回通ってるし、もう、良いかなって。長くなるし…、それに時間管理はキッチリ一時間ずつ経過してたことにしてるんで、良いんです。

ティーダ:……(変なとこで律儀だな、この人…)。

ティード:はいはい、まぁ、アンタがGMでもあるんだ…、アンタが良いならそれで良いんじゃねぇの?

saAyu:です!

ティーダ:【流民街】へ戻った後の事は語られてないが、エミーも助かったし、アルシアさんも体調良くなったんだよな?

saAyu:そうですね〜、クエストで入手した〈金蝶花〉×8個(400ガメル)は、ゼシカさんなり、アルシアさんに差し上げて、薬にするなり、売って滋養のあるものなりを食べて貰って、体調も回復した、って事で良いんじゃないですかね〜。あ、アルシアさんはメリルちゃんと神殿で住み込む感じでも良いかもしれませんね。ロクサーヌさんの代わりと言ってはなんですが…。

ティーダ:それなら、メリルの為にも良いかもな。クロード達の暮らしも良くなると良いんだが……。

ティード:まぁ、クロードとディルがなんとかするだろ、稼ぎ口、見つけたんだから。

ティーダ:…稼ぎ口?

saAyu:そうですね〜、彼らは彼らで、神殿をよすがとしながら、乱獲しない程度の〈金蝶花〉の採取で生計を立てていくかもですね〜。(にこっ)

ティーダ:(フッ、と笑う)…そうだな、賢く逞しい子たちだったからな。

ティード:俺達みたいに、冒険者ってのもあるだろうしな。

saAyu:そうですね〜。(ニコッ)

ティーダ:そう言えば、メリルは随分とティードに懐いていたな〜。

ティード:そうか? 良いように乗り物代わりにされてたけどな…。(肩をゴリゴリさせてる)

ティーダ:なんだかんだ、お前はにモテるよ。

ティード:は? どこがだよ…(俺は好きな女メリアにモテてぇよ……)。

saAyu:そうですね~。ティード君、見目は良いですからね~。ナイトメアを忌避しない人にはモテると思いますよ~。中身はちょっとクセ強ですが。(苦笑)

ティーダ:そうなんだよな~、オレたちの街ヴェルズリュートでも指折りの美形なのに、中身がこれだからな〜。(苦笑)

ティード:おい、俺のどこが指折りの美形なんだよ。(揶揄からかわれてると思って苛ついてる)

ティーダ:え、気付いて無いのか? お前、ヴェルズでは『ミステリアスな美形男子』って、評判なんだぞ~。お前に恋心抱いてる女性も少なくないしな!(我が事のように自慢気)

ティード:は? え…? ………。(どうやら自身の認識と世間評のズレに混乱してる模様)

saAyu:(マジで? と見てくるティードに対して)ティード君は美形ですよ~、、引く手数多あまたでしょうね~。中身はクセ強ですけど。(二回目)

ティード:(クセ強って二回も言いやがった…)褒めてんのかけなしてんのかどっちだよ…。

saAyu:そりゃ、勿論、褒めてますよ~。(にこにこ)

ティード:………。(どうやら照れてるらしい)

ティーダ:もう少し愛想が良ければな~。(と残念そうにティードを見る)

ティード:…俺は、お前みたいには出来ねぇんだよ。

saAyu:ですね~。ティーダさんは博愛が過ぎるんで、少し控えないとメリアちゃんが不安がりますよ?

ティーダ:え!? ……そうなのか? そんなふうには見えないが…。

ティード:恋人が、誰彼かまわず愛想振りまいてりゃ、不安にもなるだろうよ……。

saAyu:まぁ、メリアちゃんはそんなティーダさんが好きなんでしょうし、ティーダさんがだと思ってるみたいですけどね~。

ティード:それはそれで、すげぇ自信と確信だな…(結局はただの惚気話か…)。

ティーダ:……まぁ、うん、その辺のことは、ちゃんと話してみる。(戸惑い四割、照れ六割、と言った様子)

saAyu:では、今日はこの辺りでお開きにしますかね~?

ティード:ああ。じゃぁ、今日はここまでだな。

ティーダ:お疲れさん〜。

saAyu:はい、お疲れさまでした〜。

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