第148話


「昨日は大活躍だったね。暁海ちゃん」


 昼休みになるとメラノさんも僕たちの教室に顔を出す。ちなみに烏川はメラノさんの称賛を無視してカフェオレを飲んでいる。


「で、結局アレは何者だったんだ?」

「……」


 僕の問いに烏川は首を振る。


「さぁね。ただ人間じゃないのは確かね」


 たしかにあの頑丈さ、ガナーデバイスハウンドの一斉射で仕留めきれなかったことを考えると少なくとも人間では無い。


「もしかして人型に擬態したフォリンクリとか?」

「可能性は高いわ」


 そんな馬鹿な、と言いそうになって思いとどまる。


 そう。僕たちはあの怪物、テレサとその信者、グランドクロスの構成員達を知っている。今更何が起きていても不思議では無い。


「どっちみち殺すことには変わりないわ。1匹たりとも逃しはしない」


 烏川はフォリンクリに対してただならぬ憎悪を抱いているのは最近知った事だ。今回は仕方なく捕虜として捕獲したが、楽に殺さず、敢えて弄ぶ様にいたぶるほどに。


「残りは見つけ次第、始末する」

「………」


 吸血鬼はこれで再起不能になったが、少なくともあと1人、あの鎖の奴がいる。


「(それに……)」


 あの男が身につけていたものも謎だ。


 姿を消すことが可能だったあのマントを僕は迷彩マントか何かかと思っていた。しかしいざ回収してみたら、何ともないただの布切れだった。


 そしてどういうわけか、裏側に保冷剤がびっしりついていた。


「まだ油断は出来ない。燕翔寺、道尾、安良川。それにメラノさんも十分気をつけてくれ」

「承知いたしました」

「うん、廻影くんもね」

「だな」


 そうしてそれぞれ自分の席につこうとしたその時、校内放送が。


『本日13時半より、全校集会を行います。そのため、全学年午後の授業は中止です。繰り返しますーーー』


 こんな時に生徒達を一つの場所に集合させると言うのか。単独行動も危険だが、校内の全生徒が一つの場所に集まればまともに行動できない。そんな状況で襲撃なんかされたら……


「(まさか……いや。そんなまさか、だよな……)」


 浮かび上がった可能性を払い除ける。いくら何でも学園の放送室が乗っ取られたなんて、そんな事があるはずがない。


「…………」


 

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