第16話  We Will


We Will

神様にとって、とてもノイジーなロックは


しかし、悲しみにあふれているようなサウンドだった。



もちろん、その悲しみと言うのは

比喩的なものだ。



ひとの感性にとって、マイナーな音階と言うのは

実は、泣き声のハーモニクスの模倣だったりする。







真空管ギターアンプの

歪み、そのものがギターの音で

それ自体のハーモニクスが、そもそも真空中で

電子が飛び去る、その抑制からの逸脱が


つまり、宇宙の爆発に近いからである。




言ってみればそれは、電子と言う存在が

自由を得た瞬間。


真空と言うフィールドで、抑制を解かれたから。









でも、神様のように生理のない存在にとっては

抑制もないのでノイジーなだけだ。






それ自体がつまらない、と

神様が思ったかどうかは知らな(笑)。

い。





ちょうどいいタイミングで、リサは歌い出す。




カノジョは、天国への階段を得た、



そんな歌詞は、ちょっと悲しすぎる。




けれども、悩み事のあるリサにとっては感傷に


値する歌詞で

共感に、リサは涙する。



もちろん、夢の中、だけれども。

解放するには十分だ。


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