ご飯

【孤独を癒すラーメン】

 それは全く突然のことだった。

 ルナがいなくなってしまった。

 にぎやかで明るくなっていた部屋、それが元通りの空虚な空間に戻っていた。


 ――『大事なものは失ってはじめてわかる』


 まるで白昼夢でも見ていたようだった。

 よく聞く話だが、まったくもってその通りだった。

 

「まだ諦めが付くタイミングだっただけ……マシなんだろうなぁ」

「それに一人の気楽さには慣れてるし」

「やっばり他人と生活するのは向いてないのかな」


 気づくと誰にともなくひとちていた――。


 すっかり日も暮れ、電気をつけ忘れた部屋は薄暗い。都梨子とりこは今日も帰りが遅くなるとのことだった。消えたルナのことを心配してくれてはいるけど、今の彼女は本業に専念しなければならない大きな捜査ヤマを抱えていた。


 ふと、お腹が小さく鳴った。

 そういえば昼ご飯も食べていなかった。


「こんな時でもお腹だけは空くんだよな」


 こんな時はラーメンがいいかな。

 うん。久しぶりにラーメンを食べよう。


「久しぶりにあの店にいってみるかな? いや、自分で作ろうか?」


 まぁ時間だけは持て余しているわけだし。


 とりあえず財布をもって靴をひっかける。

 扉を開けると空一杯にオレンジ色が揺らめいていた。

 もうすぐ晩御飯の時間なのだ。


「……ルナのやつ、お腹空かせてないといいな」


 僕は家を出て、久しぶりにへと向かった――。

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