第140話 はぐれ者

翌日の朝


天斗は下駄箱に紙が入ってることに気づく。

ん?何だこれ?


黒崎!テメェは俺が殺す!今日の放課後屋上に来い!


は?誰だ?


「黒ちゃんどした?もしかして!またラブレターもらいやがったのか?」


「あぁ…気色悪いラブレターな…」


「なぁーにぃ~!ちょっと見せてくれ!」


そう言って小山内は紙を取り上げる。


「フッ…果たし状か…黒ちゃん、ここは俺に任せとけ!可愛い後輩にちゃんと上下関係ってものを教えてやる!」


放課後


小山内は一人で屋上に上がってきた。


「何だよ…誰も居ねぇじゃねぇか…」


小山内がトボトボと屋上を歩いていると、後ろから迫り来る足音が


ダダッ


小山内が振り返った瞬間、顔面に何者かの両足が眼前に迫っていた!


ドカッ


小山内は不意をつかれ後ろにぶっ飛んだ。


「痛っ!誰だこの野郎…汚ぇ真似しやがって…」


小山内の鼻から血が出ている。


小山内先輩…大丈夫かなぁ…相澤信二郎は薫から朝の件を聞いて急いで屋上に向かっていた。


「何だよ…俺は黒崎を呼び出しのに、何で雑魚が来てんだよ…黒崎も結局はテメェじゃ何もしねぇ臆病者かよ…」


「あ?お前頭大丈夫か?黒ちゃんが一年坊主にわざわざ出向いてくれるとでも?おごるんじゃねーよ!」


「みんな結局は同じだ…みんな下っ端にやらせて、テメェは高見の見物気取って…おいしい所だけかっさらって…噂だけが一人歩きして有名人気取りだ…俺はそういう奴をみんなブッ倒して来た。嫌いなんだよ…群れてるお山の大将が…」


「そうか…お前はいつも一人か…淋しいんだろうなぁ…可哀想に…」


あっ!居た!小山内先輩いきなり鼻血出てんじゃん!


「あぁ?ブッ殺すぞテメェ!」


「まぁ、そうムキになるなよ…俺達と一緒に来いよ!仲間ってのは良いもんだぞ?お互い助け合って傷み分かち合って、くだらねぇことで笑い合って悩みごと相談し合って…群れるってのは楽しいぞ?」


「ケッ…吐き気がするわ!」


「じゃあよ…お前が俺を倒せたら俺がお前の下に付いてやるよ。で、お前が俺に負けたら俺達の仲間になれ!それでどうだ?」


小山内先輩…一人じゃ無理っすよ…その男は9人相手に無傷で勝った男なんだ!黒崎先輩でもない限り絶対無理だ…


「男に二言は無いな?俺が勝ったらあんたは俺の奴隷だぞ?」


「好きにしろ!お前は…仲間ってものを知らないんだろ?奴隷ってか…仲間には上も下も存在しねぇんだよ!もっとこう…一緒に居るだけで楽しくて、嬉しくなる存在なんだよ…人を物みたいに考えるなよ?」


「ごちゃごちゃうっせぇよ!死ね!」


加藤浩司が小山内に突っ込んで行く!

加藤の右拳が小山内の顔面目掛けて飛ぶ!小山内が左手でその拳をガッチリと掴んだ。


え?嘘でしょ?あの加藤の拳を…


こ…こいつ…俺のパンチを…受け止めやがった…


「どうしたよ!一年坊主!こんなパンチじゃ…」


そう言って小山内は受け止めた手を大きく何度も振った。


「痛ってぇ~!なんてバカぢから…」


何だよ…反応遅ぇだけかよ…しかし…こいつの反射速度…尋常じゃねぇ…

加藤のこめかみから冷や汗が流れる。


小山内先輩…すごい…もしかして…行けるのか?

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