第110話 豪快な小山内の母ちゃん
小山内と薫は小山内の家に到着。
小山内の家はそれほど大きくはない二階建ての戸建ての借家で間取りは3LDK、家族三人で暮らしていた。
「かおりん、今母ちゃん居るわ」
「うん」
小山内は玄関を開けて
「ただいまぁ~、母ちゃん彼女連れてきた」
「お帰り~、入って~」
中から小山内の母の声が聞こえてくる。確かに喋り方が少し元ヤンを思わせる感じがした。
二人は家の中へ入りリビングに向かう。
「母ちゃん、紹介する。なんと!俺の初の彼女…重森薫ちゃん!」
「あら、可愛い娘ね!いらっしゃい。薫ちゃんね、宜しく」
「初めまして薫です。宜しくお願いいたします」
小山内の母…長いロングヘアの黒髪で少しウェーブがかっている。身長はだいたい160センチくらい、薫とほぼ変わらないくらいだ。顔はわりと綺麗な方で少しケバいところが元ヤンと言ったところか…
「薫ちゃん…あんたよくこんなバカと付き合う気になったね!疲れるでしょう」
「はい、でも可愛いところもあって…優しくて…」
「あはは!あんた変わってるね。薫ちゃんも私と同じ匂いがする。あなたけっこうヤンチャしてきてるでしょう?」
小山内の母は実に鋭い。薫は全く過去の自分を出していないつもりだったがあっさり見抜かれてしまった。
「母ちゃん、かおりんに向かってそんな言い方…かおりんはか弱き乙女なんだぞ!」
「清…かおりんはそうとう肝が座ってるよ!この娘気に入った!お前、良い子捕まえて来たわ」
そう言って笑っている。
「ありがとうございます。清のお母さんにそう言ってもらえて凄く嬉しいです」
「今日はクリスマスイヴだからお泊まりしていくつもり?」
「母ちゃん!だからいきなり失礼だって!」
「あはははは!男と女がクリスマスに会うってことは、ロマンチックな夜を求めているのなんて当たり前でしょ?」
さすが小山内の母だけあって言うことが違う。なんか小山内がまともな人間にさえ見えてくる。
「お母さん、そう言えば窓ガラスどうされたんですか?」
「お母さんだって、あんたほんと面白いねぇ!ますます気に入ったよ!」
小山内の母は薫を心底気に入ってしまった。この思わぬ展開に小山内は戸惑いを隠せない。
「あの片桐がやったやつだろ?あのあと母ちゃんが片桐呼び出してヤキ入れてさ、全額片桐の親に請求したんだよ!結局弁償してもらった…」
「あはは!そうだったんだぁ~」
「そりゃそうよ。まだ夏だから良かったけど、あれがもし今みたいに寒かったら、片桐の奴今頃三途の川で溺れ死んでるところだよ」
三人は大笑いした。
この親にしてこの子ありか…
薫は何となくこの家に馴染めそうな気がしていた。
「あんた達、まだ子どもは作っちゃダメだよ!」
そう言って、あっははと笑っている。
「か…母ちゃん!!」
薫もハハッっと笑った。
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