第104話 本田麻衣の助け船
理佳子と約束した日曜日、俺は待ち合わせの駅に到着した。午前9時、この日はよく晴れて空気はかなり冷たい。
ホームを出て理佳子の姿を探す。駅は既にかなりの人が居て小さい理佳子を探すのに苦労する。俺は理佳子に[北口の出入口で待ってる]とLINEした。
そして間もなく理佳子が姿を現した。
理佳子は黒髪のストレート。ピンクのニットのセーターで赤のフレアスカート。首にはチョーカー。たすき掛けにしたバッグが可愛らしい。
「おはよう、たかと君」
「理佳子おはよう、ちょっと街ブラしようか?」
「うん、そうだね」
俺達はウィンドショッピングを楽しむ。理佳子はアクセサリーや洋服など見て回るのに俺は付き合う。
「たかと君も見たいものあったら言ってね」
「おう、俺は理佳子の楽しそうな顔見るのが一番楽しい」
「もう…」
理佳子のはにかむ姿がいじらしい。
その時車のクラクションが鳴った。
振り返って見てみると赤いスポーツタイプのセダンに乗った理佳子の親友の本田麻衣が助手席から顔を出して
「やっぱり黒崎君だぁ!理佳子おはよう」
「おはよう麻衣」
「今、彼と買い物に来たんだけど、理佳子と黒崎君っぽい姿が見えたから」
「久しぶりだな、本田」
「黒崎君おはよ!」
理佳子は以前本田麻衣と彼とのダブルデートの話を思い出して運転席に乗っている男を覗きこみ
「彼氏さん、こないだはすみませんでした。ちょっと別の用件で…」
本田麻衣の彼氏はニコッと笑って軽く手を振った。
「あっ!もしかして!今日理佳子の…」
本田麻衣が思い出したかのように言った。
本田麻衣が俺に目配せして口パクで[たんじょうび]と言った。
そうか!そうだったんだ!今日は理佳子の誕生日か!これはなんてグッドタイミング!さも理佳子の誕生日だと知ってたかのようにプレゼント渡せば…サンキュー本田!
「理佳子、良かったら少し一緒に買い物しない?」
本田がそう言った。
「私は良いけど…」
そう言って俺の方を見る。
「俺も良いよ、本田の彼氏さんが良ければ」
結局四人でウインドショッピングをすることになった。
本田麻衣の彼氏はあまり喋らずニコニコとして優しそうな好青年という印象だ。
本田麻衣と理佳子が洋服など次から次へと店を回りこんな服が可愛い、あんなスカートが可愛いと盛り上がってる。
そして理佳子が
「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね」
そして3人になった。
「なぁ、本田…最近よく嫌な夢を見て心配事があるんだけど、もし理佳子の身に何かあったらすぐ連絡もらえないかな?」
「うん、良いよ。離れていたらすぐにってわけにいかないもんね」
そして俺の連絡先を本田に教えた。
理佳子が戻ってきて本田が
「もうお昼だねぇ。そろそろ私達行こうかな、黒崎君と理佳子のラブラブな時間邪魔しちゃ悪いし」
そう言って本田麻衣が俺に目配せして理佳子と俺を交互に見て頷いた。
きっと本田は、誕生日上手くやりなよ!という意味の行動だと俺は捉えた。
俺もそれに応え軽く頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます