垂る日々

蛇口から垂る水のように

君が語るある日を

バケツに満ち足りるまで

集めたい


焼けたタルトを切り分けて

君と笑い合う日を

マグカップから溢れるまで

過ごしていたい


優しいようで 鋭いような

目で見つけ出した

温かいようで 冷たいような

手で包み込んだ

いつかは溶けて 無くなりそうな

氷柱つららのような日々を

これからずっと 二人でずっと

足る日を


純然たる雪のような

君を見ているある日を

コートを仕舞い込むまで

想っていたい


焼けたタルトを取り分けて

君と重なる笑顔を

マフラーが解れるまで

忘れないでいたい


冬の間にだけ見えた白息だった


優しいようで 鋭いような

目を閉じたときに

温かいようで 冷たいような

手を繋いでいた

春には溶けて 忘れるような

氷柱のような日々を

あれからずっと 二人でずっと

過ごした足る日を

垂る日を

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