笑えよアンティーク

大した金も持っていないが アンティークショップに入る。


見回すと、なるほど。

それらしい壺や錆びた装飾品、

使い物になりそうにないカトラリーは群れを成していた。



店の主人は言う。

「何かお探しですか」

と。言葉と感情に抑揚の無いかすれた声だった。


大した金も持っていない僕は

「夢」

と、突拍子もないことを口走ってしまった。


黙る僕を置いて、店主はその軋む老体を動かし店の奥に消えた。



大した夢も持っていない僕は ただずっと店内を眺めている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る