暮らす宛ら

風が吹くも 無いカーテンはなびかない

見上げるも 落ちたブレーカーは戻らない

呼びかけるも あなたが居ないのだから返事は無い


そこにはつい最近まで暮らしがあった

温かくて爽やかで幸せで

でも僕は思う あれを暮らしと語っていいものか


ノックをするも 誰も居ないのだから返事は無い

呼び鈴を鳴らすも 誰も居ないのだから返事は無い

呼びかけるも 誰も居ないのだから……


そこには遠い昔に暮らしがあった

僕とあなたとで過ごした暮らしがあった

でも僕は考える あれは暮らしだったのだろうか


僕の心をくらさながらに浮かんだ心象風景は 選り好みしたただの理想か 

れたカーペット、生活偽造の丸机、あなたの匂い 

それらを詰め込んだ段ボール箱


鍵を挿して 玄関扉を開ける

風が吹いて 丈の合っていないカーテンが揺れる

呼びかける でもあなたは居ない

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