閉じる
表示設定
目次
夏祭りヒーロー
紅く染まった入道雲
東の空は紫がかり
オレンジ色の提灯が映ゆる
夕暮れの夏祭り
参道に並ぶいくつもの屋台
行き交う人々
かき氷を食べながら歩く少女達
サイリウムを振る甚平姿の子供
肩車している父親の手には
おまけで貰った金魚が一匹
近くて遠い
賑やかな祭囃子と
遠くて近い
ヒグラシの聲（こえ）
浴衣姿の君はいつもより大人びて
上げた髪に刺した簪（かんざし）がとても似合ってた
綿菓子はふっくら大きく見えても
口に入れてしまったら
途端に小さくなるよ と君が言う
何だか幸せみたいだね と僕が返す
うん、それで甘いの 君が笑った
いくら団扇（うちわ）で煽（あお）いでも
顔の火照りがおさまりそうにないから
特撮ヒーローのお面で顔を隠した
幼馴染みの君
その右手
なんで急に変身したの と訊かれても
ヒーローに秘密はつきものだから
地球の平和は無理でも
守りたい笑顔が僕にはあるんだ
君に聞こえない声で
そっと呟いた
ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）
応援したユーザーはいません
応援する
アカウントをお持ちの方はログイン
カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
カクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。
新規ユーザー登録（無料）
カクヨムに登録して、気になる小説の更新を逃さずチェック！
カクヨムに登録して、お気に入り作者の活動を追いかけよう！
応援すると応援コメントも書けます