君に本物の恋をしてしまったんだ

なんでだろう


なぜだろう


君が僕に笑いかけるだけで


こんなに胸がゾワゾワするのは


君が髪をかき上げたときの耳たぶを見るだけで


風下で君の香りが漂ってくるだけで


君の声が僕の鼓膜に届くだけで


僕はもう訳がわからなくなるんだ


君のスカートの下から膝が覗くだけで


もうドキドキしてしまうんだ


君の存在を世界に感じるだけで


胸が一杯になるんだよ


ねぇ、きっと


これは愛じゃなくて恋なんだ


だって妹とか母親とか


もちろん大事だけど


もちろん好きだけど


そういう好きとはまったく違う


もっと大切なことで


もちろん僕にとっては、君のほうが


よりいっそうオオゴトではあるのだけど


もう一大事であるわけだけど


もし、君に好きだって告白したらどうなるだろう?


① ごめんなさい。と謝られて振られる。


② まずは友達からお願いします。で可もなく不可もなく。


③ わ……私もあなたのことが! まさかの急展開。


こんな選択肢が浮かんでくるだけで


もう僕は君に恋してしまったんだよ


恋に落ちてしまったんだよ


だけどこの恋は先に進めない


だって「告白する」のAボタンが押せないから


ゲームみたいにセーブできないから


だからこれはゲームなんかじゃない


これが本物の恋なんだ


君に本物の恋をしてしまったんだ

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