ラフマニノフ No.2

万雷の拍手の渦


ピアニストが現れる


静まり返った会場


やがて魂の旋律が紡がれる


教会の鐘のような


重厚な音からの導入部分


やがてタクトが振られ


オーケストラの響きが


そのピアノの旋律を優しく包みこみ


極上のハーモニーが


波のように押し寄せる


目を閉じれば


雲の隙間から


差し込む天使のはしごが見えた


黒い森を


流れる川


その森を


歩く私がいる


場面が変わると


ここはどこの教会だろう


とそこでピアノのソロが流れ


ハッと我に変える


粟立つ肌


自然に流れてくる涙


あゝなんて


なんて美しい…


なんて美しいラフマニノフ


重なるように


連なるように


何度も押し寄せるピアノの光に


胸が昂り


それに寄り添うように


ときには張り合うような


オーケストラの伴奏に


胸が締めつけられる 


夢のような半時間


訪れるクライマックス


涙はもう


歓喜へと変わっていた


今この瞬間


生命を感じていた


総立ちの観衆


溢れんばかりの拍手と


ブラボーの叫び声


魂はまだ震えている


ブラボー


その夜プロムスに


音楽の天使が舞い降りた


神は彼を遣わした



_________________________________________________


ラフマニノフを知ったのは、のだめがきっかけでした。それからBBCプロムスの辻井伸行さんの動画に辿り着き、これを聴くのがほぼ日課になっています。辻井さんのピアノは生きている内に一度は生で聴いてみたいと思います。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る