第37話 鍛冶屋にて 其の二
ダグさんが出てきてからの展開が速すぎてタイミングを逃していた自己紹介もでき、落ち着いたダグさんとどのような武器にするかの相談が始まった。
四角いテーブルを挟んでダグさんと師匠、ダグさんの弟子と俺が向かい合う形だ。
「魔法剣に使うということじゃが、やはり魔力結晶は柄にはめるデザインでええかのう」
「ええ、それでお願いします」
聞き取りをしながらダグさんが紙にメモを取っていく。見えた文字は意外にも整っていた。
「剣の長さは──ロンドは前のと同じでいいとして、コルネのはどうするか……身長を測って決めるとするか」
ダグさんの弟子が立ち上がり、俺を手招きしている。なるほど奥で身長を測るということか。
初めて剣を打つときには、身長を測らなければいけない。そのための道具か何かが奥にあるんだろう。扉を開けて待っていてくれているお弟子さんを待たせないように扉をくぐる。
* * *
扉が閉まるのを確認すると、小さな声でダグが話し始める。
「行ったな──この間に手紙に書いてあった短剣の話を終わらせよう」
「ええ。手紙の通り、魔法剣として使う短剣を頼みたいんです。
ロンドは三つの袋のうち大きめの結晶が入ったものの口を緩める。すかさず覗き込むダグ。
「うーん、それならこれじゃな」
迷わずに少し青みがかった一つの結晶を取り出し、大切に布でくるんでポケットにしまう。
すると身長を測り終えたのか足音が近づいてくる。
「コルネくんには秘密ですからね」
「分かっとる分かっとる」
* * *
お弟子さんと身長を測る器具で測ってきた。途中で気まずいと思い、いくつか質問をしたけど短い答えしか返ってこなかった。
戻ってくるとダグさんが何やら慌てていたような気もするが、きっと気のせいだろう。
「この身長ならこのくらいの長さがいいですかね」
「そうじゃな、試しにそこの剣を持ってみぃ」
壁にかけてある剣の一つを手に取り軽く振ってみると、とてもいい長さだった。いつも使ってる剣よりは長かったが、しっくりくる感じがした。
「それと同じ長さでよさそうじゃな」
そう言ってまたメモを取る。メモの内容を上からチェックしていき、ふぅ、と一息ついてからにやにやし始めるダグさん。
「じゃあ魔力結晶を選ばせてもらおうか」
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