8.寝起きドッキリ
皆さんこんにちはー! 本日は皆さんお待ちかねの寝起きドッキリのお時間です!
ちなみに、今は朝の5時です。私は4時起きであまり寝ておりません。昨日の夜凛花さんの部屋で話が盛り上がってしまい、仕掛け人なのに夜更かししてしまいました……
昨日は凛花さんと美月と3人でロケをしてきて、今日は地方での握手会に向かうので宿泊させてもらいました。
ターゲットはもちろん、凛花さんと美月の2人です! 本日の進行は私、井上柚葉が努めさせていただきます。陽葵さんと美月の楽屋隠し撮りドッキリ以来の担当でドキドキです。
さて、それでは早速凛花さんの部屋から参りましょう!
「鍵ありますか?」
『これです』
「皆さん、見てください、鍵ゲットしました! では、開けますよ」
凛花さんは電気をつけたまま寝てますね。あ、メイクポーチが出ているのでちょっと開けちゃいますか。
凛花さんはメンバー1女子力が高くて、美容にも詳しいし、メイク道具もかなりの量持ち歩いているんですよ。
『先輩のですけれど開けちゃって大丈夫ですか?』
「凛花さんなら大丈夫です!」
じゃーん、こんな感じです。綺麗にしまってありますね。さすが!
さて、一通り紹介も終わったのでそろそろ起こしますよー! よく寝ていますし、いい匂いがします……寝顔も可愛いです。
あ。一応、ちゃんと着てるか確認するのでお待ちください! 下着とかだったら大変なので……うん、大丈夫ですね。
「おはようございまーす! 朝ですよー!」
「……柚ちゃん? え、もしかして寝坊した?!」
「朝5時です」
「5時?! 早っ!! スタッフさんまで何ですか??」
「寝起きドッキリでーす!」
「うわ……」
かなり驚いているみたいですし、これは大成功と言ってもいいんじゃないでしょうか? それにしても、寝坊したと思うなんて真面目ですね!
問題はこの後の美月です……
「凛花さん、この後美月の部屋に行きますがどうしますか?」
「美月のとこも行くの? 私も行く」
それでは、続けて美月の部屋に参りましょう!
「さて、美月の部屋の前に到着しました! 凛花さん、私不安なことがあって」
「何?」
「美月って寝起きが物凄く悪いんですよ。入った頃同室のことが多かったんですがとにかく起きなくて。そして機嫌も悪くて……最近はどうなのか知らないですけど」
「柚ちゃん怯えてるじゃん」
「普段穏やかだから余計に怖いんですって」
『はい、こちらが鍵です』
スタッフさんから容赦なく鍵を渡されたので、行きたいと思います……
「部屋は真っ暗ですね……照明さん、お願いします」
「改めて見ると本当に綺麗な顔してるよね」
皆さん、イケメンを発見しましたよ。しかも布団かけてません。Tシャツ短パンという露出高め! ファンの方には堪らないですね!
「では、早速起こしますか?」
『お願いします』
「凛花さん、起こしてくださいよ」
「いや、私付き添いなので」
凛花さんに拒否されたので起こしたいと思いまーす……
「美月ー、朝ですよー!」
「……」
「美月ー?」
「え、本当に起きないじゃん」
しばらく声をかけても起きないし、揺すっても起きませんね……照明さん、照らしちゃってください!
「んー、何……? まぶし……」
「おはようございまーす!」
「……柚? 何? 何時??」
「5時」
「は?」
聞きました? は? って。声低っ!!
さすがに眩しさには耐えられなかったみたいで片手で顔を隠しているけれど声から分かる機嫌の悪さ……
「うわ……凛花さんまでいるし、スタッフさんも……これはあれですか? 寝起きドッキリ?」
照明さんが離れたところで周りを見渡して、状況を理解したみたいですね。
『そうです』
「もー、さいあく……」
「じゃあ凛花さん、美月の隣に座って貰えますか? はい、それではいきますよ! ドッキリー?」
「「大成功……」」
「という事で、凛花さんと美月への寝起きドッキリでした! ありがとうございましたー!」
『カット、OKです』
「お疲れ様でしたー!」
スタッフさんたちが退室して、部屋には3人になりました。凛花さんと美月からの視線が痛い……
「えーっと……すみませんでしたー!」
「いや、別に柚ちゃんが謝ることじゃないけど」
「柚発案じゃないもんね?」
「ないない!」
さすがに私発案じゃないよ。私も昨日知らされたし。
「それにしても、今更寝起きドッキリとはね……もうないと思ってた」
「私もです。若手にやってくれたらいいのに……」
だからこそ、かもしれないけれど。皆油断してるもんね。
「柚ちゃんは何時起きだったの?」
「4時です」
「4時?! 早っ!」
「え、昨日私の部屋から帰ったのがもう1時過ぎてたよね?」
そうなんですよね。凛花さんと話すのがつい楽しくて任務を忘れてしまっていて。起きれてよかった……
「2人ともそんなに寝てないじゃないですか」
「移動で寝るわ」
今日は握手会で立ちっぱなしだし、私も移動で寝ようかな。
それより、ずっと気になっていることが……美月の小指に指輪があるんだよね。照明で照らされて顔を隠した時にばっちりカメラにも映ってたと思うし……
「ねえ、その指輪って陽葵からのプレゼント?」
「……え?!」
あ。凛花さんもやっぱり気づいてましたよね。美月、今更隠しても遅いって。
「陽葵も指輪するようになったけどお揃いだったりする? 陽葵に恋人が居るんじゃないかってSNSで話題になってたけどさ」
「あー……そうです」
「さっき顔を隠した時、指輪してる方の手だったから多分バレるよ」
「うわ……本当ですか?? こっちの手でした?」
恐る恐るこっちを見てくる美月に凛花さんと揃って頷くと、項垂れてしまってちょっと可愛い。
「まあ、でもピンキーリングだし、友達でもお揃いはあるから」
「ファンの方の妄想が大変なことになりそうですね」
「後で陽葵ちゃんに連絡しておきます……」
指輪のことを知ってたらそれとなく助言できたんだけどね……いや、でもそれだとバレちゃってたか……
秘密主義というか、恥ずかしがって陽葵さんとの事をそんなに話してくれないから指輪を貰っていたなんて初めて知った。
ペアリングなんて、陽葵さんの本気を感じる。薬指じゃないのは、もしバレた時に騒がれないためかなと思うけど。
陽葵さんがここまで想定していたのかは分かりませんが、さすがです!
「それってプラチナ?」
「あ、はい。そう言ってました」
「21歳の誕生日にプラチナなんて愛されてるねー?」
凛花さんの言い方だとなにか意味があるのかな?? 美月が赤くなったから何かありそう。
「21歳にプラチナって何かあるんですか?」
「21歳の誕生日にプラチナを贈られると幸せになるって言うジンクスがあるみたい」
へー。そんなのがあるんですね。
「凛花さんなんで知ってるんですか?」
「前に雑誌で女性へのプレゼント特集をやらせてもらった時に聞いた」
「えー、今度調べてみます」
アクセサリーは色々と奥が深い。それを知っている凛花さんも凄いし。
「さて、それじゃ準備始めますか。柚ちゃん、部屋戻って準備しよう。美月、またね」
「お邪魔しましたー!」
「はーい……」
テンションの低すぎる美月に見送られて部屋を出て、凛花さんと途中まで一緒に歩く。
「柚ちゃん朝早くからお疲れ様」
「凛花さんもお疲れ様です」
「昨日黙ってるの大変だったでしょ?」
ドッキリを仕掛けられたのに、私の事まで気遣ってくれて優しい……
「いや、途中から楽しくて忘れてて……」
「はは、柚ちゃんらしい。それなら良かったけど」
「ほんとすみません」
「仕事だから仕方ない! じゃ、また後でね」
「はい。また」
いつもフォローしてくれるし、本当に先輩に恵まれたと思う。私も後輩に優しくしよう。
部屋に戻って準備をしながら、さっきのことを思い出してついニヤニヤしてしまう。陽葵さんが卒業してからも相変わらずな様子に安心する。
美月は大事な同期だし、陽葵さんは尊敬する先輩だし、2人とも大好きだからずっと幸せでいて欲しいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます