ぼくのかさ

 ジャンプ傘、パチン。昔は傘の嵩も少なく、低かった。子ども向けの小さな傘。確かアニメのキャラ絵がついてた。大きくなる前にダメになって、使えなくなった小さな嵩の傘。


 傘のアニメのキャラを語る友達もいなかった、子どもの頃の僕の日々。雨の日は余計に憂鬱で。帰り道は、寄り添う傘の達尻目に、一人まっすぐ帰ったっけ。大人になっても変わらない。同じ傘に入る愛しい人もいなければ、傘を差しかけたり届けるような人もいない。大きく黒いジャンプ傘。今はアニメの絵さえもない。雨の日に、僕は一人、どこまでも孤独に傘を差す。


Twitter300字SS第三十三回過去お題より……「かさ」(本文249字)

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