ある通行人の外出

久方ぶりに

出てきた街

風が向けてくる

チャリタバコじじいの煙


艶のハイヒールで

自転車に跨がり

百均に行く


エスカレータで上昇

硝子窓にはね返る赤々とした街の灯り

横目に着地

見たことない覆いが

入口を囲っている

と思ったら

閉店だった


駐輪場の壁に背を付け

夕飯を食べる人

たぶんあそこのたこ焼き

煌々照らすネオンの陰に一人


別の百均が近くにあるから

そこへいく

入ったら

天井に浮き輪が吊ってあるから

世間は早、夏仕様で

少し見ないうちに


またmanicureを買った

良さそうなのが沢山で気になったから

もちろんコピー用紙も手に入った

すぐなくなるから

コピー機は安かったが

廃盤になりそうで

インクが高すぎる

ブラックは品切れと言われた


帰り道

自転車を漕いで

歌いたくなるが

喉の調子が出てくると

ずっと歌い続けて

全然仕事に手を付けられないので

下手なまま

留めておく


街は結構派手に働いている

建物もあった

見る限り

寝ている建物もあるが


草むらに

猫がうろうろ

自転車を怖がって

茂みに潜り込んでいった


コツコツ

コツコツ

踏み外さぬよう

階段に

響かせながら

慎重に

帰って来る


絶対

疲れても寝るなよ

私には仕事がある
















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