鉄棒

夜の帰り

庭を

ショートカットして

階段へ

行く途中

目に留まり

語りかけるものがあった


常夜灯の下

仄かに光る

鉄棒と

ジャングルジム

を見た


鉄棒

一番低い方へ

近づいて

手を掛けてみた


ざらついた鉄の棒

黒かった


思わず手のひらを

見て

汚れはなかった


掴み

力を込めた


浮いてみた

腕の力で


浮いた

地に足がついていなかった

高いところにいる気持ちになって

草を見下ろした


鉄は硬い

ざらざらして

手のひらに痛い


結構重かった


ふっと

手を離すと

待ち構えていたように

元に戻った


着地した

でも

確かに

さっき

私は浮いていた


そう思って

常夜灯の影を

通り過ぎた






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