夜漁(やぎよ)

 夜。小島が点々とする漁場で、吾作は、うすだいだい色の灯りのもと、魚を取るのに励んでいました。

 そこに、ばちゃばちゃと、島から島へ渡るため、いのししが通りがかりました。

 村では、海を泳ぐいのししは、神の使いであるから、殺生は禁じられていました。

 しかし、病身の母親に滋養のあるものを食べさせたかった吾作は、その禁を破り、持っていた銛と小刀で、いのししを殺してしまいました。


 いのししの肉を食べた吾作の母親が、血を吐いて死んだあと、村は不漁に悩まされるようになりました。

 真相を知った村人たちによって、吾作は村を追い出されました。その後の彼の行方はわかっていません。

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