禁令

 ある小国の話。

 死体の片づけやその運搬を生業なりわいとする老人を、若侍たちが罵りながら蹴っていたところに、たまたま殿様が通りかかった。

 殿様は何も言わずに城へ戻ったが、すぐさま、金で死体の片づけや運搬を請け負うことを禁じた。

 そのためにびとの片づけを身内がせざるを得なくなり、また、行き倒れの死体が道に放置されるようになった。

 若侍たちが腹を切ると禁令は解かれたが、勝手に切腹したのは言語道断ということで、各家はお取り潰しの処置をうけた。

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