第136話 テロ

「クソ共が!!死にやがれ!!」


ダダダダッ!


二日前 アメリカ合衆国 モンタナ州


「現在このショッピングモールにて銃撃が!」


大型のショッピングモール。人々が混乱し逃げ惑う。外へ出ようと大勢の人が押しかけていた。


「現在、警察官達がこちらへと向かっているようですが…イベントの中継を急遽変更して、ここからはこの…きゃあ!」


その時、銃弾がショッピングモールのガラス窓を破って近くの車へと被弾する。


「すぐに逃げてください。頭を伏せて逃げて!」


アナウンサーの女性はそう言うと自身も逃げ出そうとする。ショッピングモールの銃撃がある地点からは少しも離れていない。


カメラマンの走る衝撃でカメラが揺れる。ガタガタと。


その時、その場を切り裂くような叫びが聞こえる。


「お前らのせいだ!俺の職がねぇのは!死ね!死ねぇ!」


ダダダダッ!


銃撃の音。絶え間なく響く絶叫がなお人々を混乱させていく。パトカーと救急車のサイレンが遠くから聞こえる。だが突然カメラが大きく地面へと向かっていく、と同時にカメラには倒れている人が映る。


その人は胸のあたりから血が流れていた。その風貌からしてカメラマンと察せる。その人はピクリとも動かない。


カメラはまだ動いていた。音声としっかりと撮れていた。目の前にあるエスカレーター、そこから悠然と男が現れる。全身を黒に包み、その手にはライフル銃を持っている。


男は吹き抜けになっている上の階に銃撃をする。薬莢が男の周りにカランカランと落ちていく。


パトカーと救急車のサイレンが近くにまで響くと同時にカメラから光が消えた。

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「クソがぁ!クソがぁ!」


男はひたすらに銃を撃っていた。動く物ならなんにでも銃を撃っていた。その男の足からは血が出ている。男は足を引きずりながら後ずさっていく。


「クソッ!」


男は明らかな動揺を見せていた。それが内にドス黒い感情となって湧き出ていく。


SWATは目の前にまで迫っている。男は後ずさりながらひたすらに銃撃した。その時、何かにひっかかり男は尻もちをついた。見るとそこにあったのは自分が粉々にした観賞用の植木鉢だ。


「クソg!……」


男は立ち上がろうとした。足の痛みはアドレナリンで感じていなかった。だがその前に男の胸には銃撃が被弾している。そして男はようやく気づく。


自分は無数の赤いレーザーに当てられていた。それか銃の発するレーザーライトだと分かることはない。男は状況が理解できなかった。


「あの時に…待ってれば…もっと…人を…殺せたの…に…」


男は多くのSWAT隊員に見られながら息を引き取った。

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「モンタナ州のショッピングモールで起きた事件だが…FBIが資料を持ってきてくれた。犯人は無職の30代の男、過去に強盗で服役もしていた…だがその男、奇妙な物を持っていた…何かの証か。SURFER FROM SUFFERINGと書かれた髑髏の紋章を…」

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「我がリーダーよ。モンタナ州でのこの事件。どうやら我が集団の一員が起こしたようです」


「待ち切れなかったと言うのか?」


「そのようです。先を越してしまったのかと」


「少ないな。考えもチープだ。何故モンタナ州で事件を起こした?」


「さあ?分かりません」


「次はどうなる?馬鹿でかい花火を期待しているぞ」


「次は…ペンシルジニア州とメリーランド州。そして…」


「作戦実行者は?」


「例のアメリカ人です。彼のおかげでここまで道具の調達がうまくいった」


「全ては順調だ。彼らはまだ我々の恐ろしさを知らない。エイリアン共だけが全てじゃない。この世はエイリアン共によって変わっちまった。いまや架空の現実は今になりつつある。俺はこの世で名を馳せてやる!」

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