安藤ミカさん!手加減してください!世界が滅んでしまいます!!〜手加減してもチート級!?な転生ハーフエルフの異世界魔術師物語!

Ryu-ne

0話目 エピローグ


「くはぁ〜っ、今日も飲んだ飲んだ〜。仕事終わりの一杯が格別だと昔から言われてるんだろうけどやっぱ本当だな!飲むだけ飲んで好きに生きる人生!堅っ苦しい若人とは違って生きていける!人生サイコー!」


人通りがまばらな中、大きな声で通りを歩く女性。近所迷惑お構いなしに気分良く家に帰っている。



「セクハラ上司に使えない部下。挙句の果てには自分の夫の惚気ぱなしをしてくる同僚。何考えてんだよ、ほんとにもげろ!」


その口から出る愚痴は、完全に出来上がっている人特有のものだろう。



「それでも働かないといけないですしー?納期ギリギリのをこっちに押し付けられてもできないものがあんだよ!24時間働けません!ブラック企業はクソくらえだー!」


とても女性から出るような言葉ではない。通り過ぎる人が大丈夫か、と心配な目で見てくる。


マンションに向かって帰っていると、近所の川崎君を見つけた。10歳年は離れてるけど、小さい頃から一緒にいる幼馴染み。



「おっ、川崎君じゃ〜ん。塾?そっか、高校受験だね〜。頑張ってる?」


「うげっ、安藤さんじゃん。酒飲み過ぎじゃない?安藤さんから酒の匂いプンプンしてんだけど…」


「大人にゃ色々あるんだわさー!せっかくだしキスするか?童貞中学生。ほっぺにしとくか?チュッて」


「だーもう、イジんのやめろや面倒くせぇ。だいたいなんでそんな俺に絡んでくんだよ!?」


「同じ独り身だからだなー。18まで彼女いなかったら私がもらってやろうか?」


「じょ、冗談でもそんなん言うなよ……はずいだろ…」


「嘘、かわいいー!抱きしめさせてー、というか抱きしめるっ!」


「ちゃんと許可取ってから抱きつけ!つーか、そのでかい胸当たってんだけど!?」


「バーカ、お前のオカズの為に当ててあげてんだから感謝しろよー?」


「おまっ、ほんとにうざいって!絡み方がひどすぎんだよ!あーもう、公園行くぞ!」


「え、何、連れ込むの?」


「連れ込まねーよ、バカ!」


周りの人たちにめっちゃ見られてる。

そのまま言い合いをしてても良かったんだけど、担がれて近くの公園まで連れてかれた。






「ほら、ここならだいぶ落ち着けるだろ?」


「えー、ヤるんじゃないんだー?意気地無しー」


「うっせ。……それより、お前酒飲むってことはなんか嫌なことあったんじゃねぇの?いつも酒飲まねぇのに」


ったく。妙なところで勘が鋭いな、コイツ。

どっか不器用なのにこういうのだけは上手とか…。神様は不公平だな。私もこんな純粋な人間に産んでほしかったよ。



「…………………………………会社、首になった。納期に間に合わないのは全部お前のせいだってな。アホらしい、てめぇらのミスをどれだけ埋めるのに苦労したと思ってんの?やれ恋人だの、やれ睡眠時間だの、残業できないからあとは任せたーって。私のコト…誰も考えてくれないじゃん。それなのに誰も私の頑張り認めてくれなくてさぁ。

だからさぁ…っ。それがさぁ…っ。ホント、ホントにッ悔しいんだよぅ…」


少しずつ堰き止めてた言葉が溢れ出てくる。

何中学生のガキに惨めな話聞かせてんだってか?

私…。だって…だって、出てきちまうから仕方ねぇじゃん…。

悔しくて言い返せなかったけどっ…!私だって頑張ってやってきたじゃんかっ!



ずっと隣で川崎は聞いてくれてる。背中さすって私の涙を止めようとしてくれてるんだ…。それが…それが、その優しさがまた私の涙になって…………。それで…。



「悔しかったら…嫌だったら逃げていいよ。どんだけ逃げてもミカさん、最後は逃げねぇじゃん。それはすごいことだと思ってるし、かっこいいって心の底から思えるんだよ。今泣いたっていいよ。あとから泣いた分、泣かされた分やり返すんだろ?あいつらに目にもの見せるんだろ?なら…なら今はいいさ。泣きゃいいよ。鼻水垂らして、ベソかいときゃいいさ。今だけだぞ?胸かしてやるから。    だから…だからさ?」





「ミカさんは大丈夫だって」




やばい、これはほんとに…ほんとにやばい。こいつこういうときにかっこいいんだもん。ずりぃよ、こんなスパッとしてて。こいつの優しさに騙されたくなる。だめだってわかってても顔が赤くなる。



「な、生意気言いやがって…でもその…ありがと」


「ミカさん、やっぱかわいいな」


「ッ!?大人からかってると痛い目見るぞ?」


「上等!痛い目見せてみろよ。どんだけでも付き合ってやる」


ぶきっちょな優しさで…。あぁ、これ以上うじうじしてられないな。



「愚痴聞いてくれた礼だよ。コンビニでなんか奢っちゃる」


「マジで!?やったー!フー!肉まん食いたい!」


「じゃ、私はカレーまんにしようかな?」


「あっ、そっちもいいかも!ねぇ、ミカさん、2つ買ってくれな〜い?」


「駄目だそ、一個だけな。その代わり一口食わせてやるから。………どした?間接キスでも想像したのか?え?」


「べ、別にそんなわけ…」


ふふっ、かわいーなーもう。こいつと結婚すんのもありかもなー。



「なぁ、私を養ってくれよー。なんでもするからさー?」


「俺が18になってからな?」


「案外ノリ気じゃん。私の可愛さに気づいた?」


「とっくの昔に気づいてるよ」


ッ!?こいつ大人をからかいやがって…………。


ホントなら嬉しいけどな!



「おっ、コンビニ発見〜!どうする、一緒に買う?」


「そうしとく」


「お〜け〜」


はー、やっと素直になったなーこいつ。私が結婚できるまで…あと3年ってとこか。年の差10歳って珍しいわけではないよな?



そんなことを考えながら肉まんとカレーまんを買って外に出る。さっきの公園に戻って一緒に食べたよ。その…な?あ~んとかしてもらったのはホント不可抗力で…。で結局夜の10時くらいまで引き止めてたから帰ることにした。一緒に二人で。手を繋いで。恥っず。



川崎を送って私もマンションに帰る。でかい道路を渡ってすぐのところにある。



歩道橋の階段を登りきったとこだった。急に酒の酔いが来たのかフラッとし始めた。よろけて手すりにもたれかかる。視界もなんかぼやけてきた。意識も朦朧としてる。グラッと体制を崩してしまった。

今慌てても私は何もできない。





ドサッ、ドサッという音が聞こえる。




なんか…視界が赤くなってる…。





遠くから救急車の音が聞こえてる。




これは…死んじゃうのかな?




こんな呆気なく死んじゃうのか…。




どうせ…どうせだったら…あいつにちゃんと好きとか言っとくべきだったかな?




もう遅いかもしれないけどな…ほんとに…遅すぎていまさらだけどな…










「川崎……春兎。私は……あなたの…っ、ことが…大…好きだった…よ…………」





遠くから春兎の声が聞こえた気がする。泣くなよ?





私も泣いちゃうから。




そんな中、私は眠くなって意識を手放した。





















【条件を達成。異世界への転生を開始します…】



私が死んだとき、とある別の世界で人族と魔族の争いが起きていた。



人族はエルフ、ドワーフ、精霊族に力を借り、魔族は鬼族、ゴブリン、オーク、モンスターを従え互いに戦争を起こしていた。






これはその時代に生きる転生したOLの話。














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この作品をご覧の皆様。こんにちは、こんばんは。

Ryu-neと申します。

今回は『安藤ミカさん!手加減してください!世界が滅んでしまいます!!〜手加減してもチート級!?な転生ハーフエルフの異世界魔術師物語!』

を読んで頂き、ありがとうございます。


初めて書く小説なので、あまりスッキリした文章にはなっていないかもしれません。


0話目は主人公である安藤ミカさんが異世界に転生する前のお話を書いてあります。1話目から主人公として色々異世界でのお話が始まっていきますので、お楽しみに!



ぜひ、お気に入り登録やハート(?)など応援のコメントも待っています。

誤字脱字があれば言ってください。

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