第3話 はめられた私
罠にはめられる前、私の婚約者であるドラインは、こんな事を言っていた。
『嫌いな人間がいるんだ。本当は殺したいほど憎んでいるけれど、我慢するよ。あいつは、あれでも国の要人だからね』
彼が嫌いなのは、とある騎士らしい。
その騎士は、神官様をお守りする役目に就いている、名誉ある騎士だ。
けれど、ことあるごとにその騎士はドラインを見下してくるらしい。
『ドライン、お前は本当に可哀そうな奴だな。あまりにも可哀そうすぎて、目障りになってくる』
行動する行く先々で、つっかかってくるとか。
なぜそんな事をするのか。
それは、彼等が親友だったからだ。
『幼い頃は、あいつと二人で騎士になろうと約束していたんだよ。でも夢を叶えたのは、あいつ一人だけだった。試験の時、僕は彼に陥れられてしまったから』
その話を聞いた時、私は許せない。
と思った。
悔しい想いをしているドラインの代わりに復讐しようと思った。
けれど、彼は優しかった。
一生を台無しされたのに、『やり返したって何にもならないよ』と言って笑っていた。
だから、
『でも、少しだけくやしいからね。ちょっと懲らしめてやるんだ。この睡眠薬を飲み物にまぜて、彼を眠らせて仕事に遅らせてしまおう。大丈夫あぶない薬なんかじゃないよ』
彼の言う通りに行動したのに。
『うわぁぁぁ、人が死んでいる!』
『誰か! 騎士様が倒れているわ!』
それは睡眠薬などではなく、毒薬だったのだ。
『俺は見ました、俺の婚約者であるフレンダが、何かの薬を持っている所を。まさかあれが毒薬だったなんて!』
そして、ドラインに殺人の罪をきせられてしまった。
『こんな女性と一緒になんていられない。君を妻にするなんてありえない』
それを理由に、婚約もなしにされた。
信じていたのに。
彼は私を利用して、邪魔な人間を殺させたのだ。
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