第17話 『終わり』は突然やってくる
ましろんとのデートも終え、モンタギュー姉妹と共に田中ちゃんが運転する外車にドンブラコ♪ ドンブラコ♪ と揺られて30分。
車内の戦乙女3人の発するプレッシャーに田中ちゃんが心臓発作で殺されかけること数回。
何とか無事、桜屋敷に帰ってくることが出来た俺たちは、解き放たれた子犬のように我先に飛び出て行った田中ちゃんの後に続くようにゾロゾロと車から降りていく。
――そして唐突に終わりが始まった。
突如、俺たちが停めている車のすぐ真後ろへと黒塗りの外国車がやってきたのだ。
「むっ? こんな時間に来訪者か?」
「ウチの車ではないようじゃが……」
「……うそっ」
ジュリエット様とマリア様は
この場にいる全員の視線が突如やってきた外車へ注がれる中、俺の意識は可愛い後輩へと向いていた。
ましろんの身体が小刻みに震えていたのだ。
その視線は高級車に釘づけで、顔はコチラが心配になるレベルで真っ青。
「白雪様?」
どうかされましたか? と俺が声をかけようとした所で、黒塗りの高級車のドアが開き、誰かが降りてきた。
ヒョロッとした手足に、昔はイケメンだったんだろうなと感じる容姿。
おそらく年齢は40手前がいい所だろうか。この場に居る全員と親ほど離れていそうな男がキョロキョロしながら車から降りてきたのだ。
誰だこの人? ハッ!? もしかしてモンタギュー姉妹のパパ上か?
「ジュリエット様、マリア様。もしかしてあの方はモンタギュー家の旦那様でしょうか?」
「それはないな。ボクの父はもうこの世には居ない」
「妾の方も
さもあっけらかんとした様子で答えるモンタギュー姉妹。
じゃあ、このスカした感じのオジさんは一体誰だ?
俺が今にもパパ活していそうなオジさんを
1人1人ゆっくりと舐めるように視線を移動させ、我が後輩に目を向けるや否や、ニッコリと満面の笑みを浮かべて、
「あぁ、やっぱり。ここに居たんだね真白ちゃん」
甘い声を発し、両手を大きく広げて、ましろんの方へと歩みよってきた。
途端にましろんの身体の震えが大きくなる。
手を繋がなくても分かる、彼女が怯える気配。
気がつくと俺は、ましろんを背中に隠すような形でオジさんの前に立ちふさがっていた。
「申し訳ありませんがお客様、どちら様でしょうか?」
「ん? 僕かい? 僕は
「佐久間亮士様……ですか?」
「そうだよ」
パパ活おじさん、もとい佐久間のオジさんはにこやかに微笑みながら、この場に居る全員に聞こえるようにハッキリとこう言った。
「そこに居る白雪真白ちゃんの
「……はっ?」
こうして、俺と後輩の『終わり』の物語が勝手に幕を開けたのであった。
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