　～とあるお嬢様の手記にて（一部抜粋）～

　悔しい、悔しい、悔しい、悔しいッ！

　なんじゃあの偽物（にせもの）アンドロイドは！？　

　礼儀作法はなっとらんは、すぐにセクハラをするは、的確に妾の仕事の邪魔をするは、謝るフリしてすぐに服を脱ごうとするは――ほんと何なのじゃあの男は！？

　しかも今日一日一緒に居て分かったが、あのアンドロイドもどき、質（たち）が悪いことに、本人には一切悪意がない。

　心の底から妾のことを思って行動しておる。

　……ソレは分かるが、どうしてソレがセクハラじみた言動になるんじゃ！？

　天然か！？　天然の裸族か！？

　何故妾があやつ如（ごと）きに振り回されねばならんのじゃ！？

　逆であろうが！？　普通は逆であろうが！

　使用人の――いや詐欺師の分際でこうも妾の心を乱すとは、万死に値するわ！

　今日は失敗したが、明日は必ず目に物を見せてやるわ！

　……まぁ、料理の腕だけは認めてやらんコトもないがな。

　それだけっ！　それだけじゃ！　必ずやあの男を屈服させて、どちらが上かを分からせてやるわい！

　ふふふっ、妾にゾッコンになったあの男を見たときの姉上の顔が楽しみじゃわ。アーッハッハッハッハッ！

　……頼めばまたあのオムレツを作ってくれるのじゃろうか？

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい