第28話 最強の集合? その2

「昨日ぶりだな。今日は仕事早く終わったみたいで良かったな」

「ああ、それに明日は有給もらったからがっつりやりこむことが出来る」

「一刀はやっぱ真面目だね。僕は自営業だけど今日はちょうど用事があったからログインできなかったよ。そういえばゼロも自営業だったね。今日でどのくらい進んだの?」

「ああ、私のレベルは今13だ。効率の良い狩りの方法を見つけたからな。全員が集合したらさっそくレベル上げに行きたいと思っている」

「流石だね。鬼畜の神官は伊達ではないみたいだ」


 聖がからかってくるがいつものことだから無視しよう。私のスルースキルは上限突破しているからな。それに聖も【必然】とか恥ずかしい名前で呼ばれているのだがそれを言ってもスルーされるだけだから言っても無駄だ。


「おい、二人とも不知火しらぬいが来たぞ」

「すまん遅くなった」

「いや、まだ二人来てないから大丈夫だよ」


 聖たちと今後の話をしていたら17時ちょうどに不知火が到着した。

 不知火は170後半くらいの身長でログインしたばっかりなので装備も初心者のままだがその背中には大きなカイトシールドを背負っている。不知火はドワーフじゃ無くてヒューマンにしたみたいだ。盾職ならドワーフにすると思ったが違ったか。


「もしかしなくても後来てないのはロードとレオか。ロードはチュートリアル受けてから来るって言っていたがレオは多分普通に遅刻だ」

「ああ、そういえばみんなチュートリアルは受けたか? あれを受けるとギフトでチュートリアルのとき選択可能だったスキルを1つ習得出来るスキルの書を貰えるぞ」

「僕と一刀はもちろん受けたよ。βと何か違っていたら困るからね」

「俺は受けてないな。時間がやばそうだったし、特にシステムは変わってないと思ったからな。だが、スキルの書が貰えるなら受けとくべきだったな」


 不知火は集合時間に間に合うようにチュートリアルを受けなかったらしい。それにしても一刀と聖はチュートリアルをしっかり受けていたのか。流石は我がチームのサブマスターたちだ。


「不知火、もしスキルを買うなら金を貸すから言ってくれ。それと、レオはどれくらいで来るか分かるか?」

「いや、金はいいや。スキルの書は欲しかったが今のスキルで意外と完結している感じがあるからな。それとレオは10分くらい遅れると思う」


 確かに不知火はスキルよりもPSプレイヤースキルで戦うからそんなにスキルは必要としなそうだ。

 ならば残りの二人を待つだけか。レオは遅れるとしてチュートリアルを受けているロードも10分しないでここに来ることだろう。


「この後だが、全員が揃ったら冒険者ギルドに行って依頼を受けたらそのままラッシュボアの討伐に行こうと思う。一刀たちにも言ったがホーンラビットの狩り場は混むだろうし、効率の良い狩りのやり方を考案したから簡単にレベルを上げれるぞ」

「了解だ。今日はレベル上げに専念して明日からボス戦だな。装備についてはドガンさんに連絡を取ってみたがここは戦士職の装備はアイアンじゃ無くてブロンズの装備みたいだ。だから、不知火の装備は次の街に着いたら更新して今回は革装備で我慢してもらっても良いか?」

「ああ、全然問題ないぜ。ここで無理する必要は無いからな。それに次の街で更新できるんだったら文句は無い」


 一刀の言った通り、私も市場を覗いた時に知ったがこの街の装備の品質は銅が最高だった。そして、銅の装備は革の装備と等級が同じだ。

 AWOにおいて等級は装備の性能に直結する。さらに、素になる素材は防具の耐久度にも関わる。そのため、ここでは銅の装備を買わないで革の装備にしておくことにしたのだろう。


「わりぃ。あのくそ上司が俺に残業押しつけてきやがったから遅くなっちまったわ」

「お疲れ、レオ。いつも大変だね。でも、レオならいつでも他のところに行けるでしょ?」

「まあ、そりゃそうだがあそこの居心地が良いのも否定できないからな」


 今度はレオが到着した。

 レオは一刀より少し背が高く、種族も一刀とは反対のセリアンス・ドッグだ。そして、リアルではプログラマーであり、どの会社からも引っ張りだこなほど優秀だ。だが、転職はしないらしい。

 それに今日も残業をこなしてきて集合に遅れたみたいだ。それはさておき、残るメンバーはロードだけだ。不知火の話だと今はチュートリアルを受けているみたいなのでもうすぐ全員集合できるだろう。


「吾輩としたことが一番最後になるなんて、実にナンセンスですな」


 レオが到着してから数分後、今度はロードが空から光の柱となって広場に現れた。

 ロードは私達の中では一番背が高く、そのかっこは魔術士のローブに不気味な笑顔の仮面を装備している。そのおかげで彼がヒューマンなのかデミヒューマンなのか分からないが魔術士のローブをしているので多分デミヒューマンだろう。


「いや、気にするな。それより早く冒険者ギルドに移動しよう」

「ああ、そうだな。だんだんと降りてくるプレイヤーの数が増えてきた」


 まずは人が増えてきたことだし冒険者ギルドに移動することにした。

 冒険者ギルドについた後は依頼を受けてから狩りに行く。今日は全員時間があるようなので深夜も狩りに没頭するのは確定だ。

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