第246話 小休止

「お疲れ様でした」


 戦闘が終わったので、セリカさん達を亜空間から出した。


「セリカさん、猪の解体をお願いします」


「分かりました!」


「私達も手伝いましょうか?」


「解体なら手慣れたもんですよ?」


 ナタリアさんとヒルダさんがそんなことを言って来た。解体に慣れてる商家のお嬢様って凄いな!


「いえいえ、そんな。お二人は依頼人なんですからドンと構えてて下さいな。ちょっと一服しましょう。戦闘組は疲れているでしょうから」


 私は亜空間からティーセットと水と簡易コンロを取り出した。


「お構い無く。私達もただ守られてるだけじゃ申し訳ないですから」


「少しは体を動かさないと鈍っちゃいますからね」


 そう言ってお二人はセリカさんの所に行ってしまった。いいのかな? 私が悩んでいると、


「まぁ、本人達がやりたいって言ってんだからいいんじゃないか?」


「そうですね。いったん旅に出たら依頼人も護衛者もなく、みんなで一つのチームみたいなもんですし」


「なるほど。そういう見方もありますか」


 ラウムさん、アスカさんの先輩冒険者コンビはやっぱり経験が違うなとそう思った。


 私は猪を解体している三人を見やった。


「お茶入りましたよ」


 ステラさんがお湯を沸かしてお茶を入れてくれた。 


「ありがとうございます」


「それにしてもあの熊、やたら強かったですね。お二人でも苦戦されてましたし」


「本来、ホーンベアーは大人くて臆病な魔物のはずなんだ」


「そうなんですか?」


「あぁ、普段はあんまり人里近くに現れたりしない。だが子育ての時期はそれが一変する。より多くのエサを求めて人里近くに現れるし、子供を守るため性格も凶暴化する」


「なるほど。そういうことでしたか」


「それと恐らくだが、ここに来るまで結構な数の盗賊を始末したろ?」


「はい、なんだかんだで20人弱になりましたかね」


 全て私の亜空間の中の個室に入れている。もちろん飲まず食わずな訳だが、1日や2日ぐらいどうってことは無いだろう。


 寧ろ出す時に弱っていてちょうど良い。


「普段、人が居ない所にまでそういった輩がウロ付いていたから、それがストレスになったのかも知れないな」


「あぁ、なるほど。そういうことですか」


 そういった所にまで影響が出ているかも知んないんだね。私達がラウムさんの話に納得していると、


「終わりましたよ~」


 セリカさん達の作業が終わったようだ。


「セリカさん達、ご苦労様です。さて、それじゃあ旅を再開しましょうか」


 今日中には領都に到着する予定だ。

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