第100話 クリスの気持ち
「ブヘッ! ガハッ! ゴホゴホッ!」
「だ、大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫です...ゴホゴホッ!」
盛大に吹き出した後、気管に入ったらしく、私はしばらく悶絶した。それくらい衝撃的な事実だったのた。
まさかあのイアン様がお相手だなんて! 私は動揺を抑えようと必死だった。
「し、失礼致しました...つまりコリンズ領までの護衛任務ということですね?」
「は、はい、よろしくお願い致します...」
「い、いえ、こちらこそ。よろしくお願い致します...あの...それで...つかぬことをお聞きしますが...その...クリス様は...イアン様との縁談...お受けなさるのでしょうか...」
た、他意はないよ! じゅ、純粋に気になっただけ! ほ、ホントだって! う、ウソじゃないって! そ、そりゃちょっとその...寂しいなって気持ちにはなるけどさ...
ダァ~ッ! なに考えてんだ私は! それと一体誰に言い訳してんだ私は! 落ち着け落ち着け! 腹式呼吸だ! ヒッヒッフ~! ヒッヒッフ~!
「えっと...その...イアン様に望まれれば...そうなるのかなと...思ってます...そうなれば、実家にも援助して頂けると思いますし...」
おや!? クリス様のお顔が優れないな!? これは! もしかしたら!
「あの...差し出がましいことだとは重々承知してるんですが...もしかしてクリス様には他に思い人がいらっしゃるのではないですか!?」
「はうぅっ!」
どうやら図星だったらしい。クリス様がとっても分かり易く動揺してる。まぁそりゃこれだけ可愛いんだもんねぇ。居ても不思議じゃないっていうか居ない方がおかしいよねぇ。
それでもきっと家のためにとか思って、自分の気持ちを殺して来たんだろうねぇ。貴族としての義務を果たすためにも。辛いだろうに健気なもんだ。
でもさ、それはそれとして、イアン様にはハッキリ伝えた方が良いとも思うんだよね。大丈夫、きっとイアン様なら分かってくれると思うよ。
「...それ、イアン様にちゃんと伝えるべきだと思います。寧ろ婚約を結んだ後で聞かされたりしたら、きっとショックを受けると思いますよ?」
「...やっぱりそうなんでしょうか...」
「えぇ、勇気を持って伝えるべきです。大丈夫、そんなことくらいであなたを嫌ったりはしませんよ。イアン様はそういう方です」
「...あの...カリナさんは随分とイアン様のことに関してお詳しいようですが?」
ギクッ! あ~! やっちゃったよ~! 調子に乗り過ぎた~! ど、どうしよう!? どうやって誤魔化す!?
「...と、とても立派な方だと、ひょ、評判で聞いていますので、お、恐らくそうなんじゃないかと...」
「...あぁ、そういうことでしたか...」
フゥ~! 危なかった! セーフセーフ!
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