【詩】20210514

「発熱の方はブザーを押してください」

 敷居は跨げぬこの身を支えて

 待ち時間に空を見上げた


 通りの上だけひらけた空には

 鳥がいっぴき自由に飛ぶ


 隙間なく立ち並ぶビルがすべてなくなって

 全方位の空を眺められたなら

 きっとそれは美しいだろう


 隙間なく立ち並ぶビルがすべてなくなって

 全方位の空を眺められたなら

 そのうち飽きて家を建てる 影を求めて


 雑多な世界は機能的にできている

「お待たせしました」

 小さなビニール袋を片手に

 機能的な世界へと帰っていく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る