第41話 服選び

 そこから、お寿司を食べ進める。

お寿司というのは意外とお腹に溜まる気がする。


 昔はもっと食べれた気がするが、今はせいぜい10皿ほどで満足してしまった。


「莉奈はもういいのか?」

「はい、満足です」


 対面に座る莉奈は幸せそうな表情を浮かべていた。


「そっか、じゃあお会計してくるよ」

「分かりました」

 

 俺は財布とスマホを持って立ち上がった。

その時、莉奈も財布を出そうとしていた。


「いや、ここは俺の奢りだから。年下の女の子に払わせられないよ」

「でも……」


 莉奈は少し申し訳なさそうな顔をした。


「そんな気にしないでくれ。少なくとも莉奈はより稼いでるから」


 俺は微笑みを浮かべて言った。


「分かりました。じゃあ、お言葉に甘えます」

「それでよし」


 流石に、6個も下の女の子にお会計を出させる訳にはいかないだろう。

まあまあな給料は貰っているのだ。


 俺はお会計を済ませて店の外に出た。


「ごちそうさまでした」

「いいよいいよ」


 莉奈は店の入り口付近で待っていた。

金額を見ないようにしていたのだろう。


 若いのにちゃんとしていて偉いと思う。


「次はどこに行くの?」

「四宮さんの服を見に行きます!!」


 莉奈は笑顔で言った。


 そういえば、そんな約束をしていた。

俺は基本的に、スーツしか着ない。

今日も例外では無かった。


「スーツもお似合いですけど、ギャップがあった方が萌えると思うんですよ」

「ギャップね。なるほど」

「こっちです」


 今度は莉奈が俺の少し前を歩いて行く。

何というか、凄く楽しそうである。


「ここですよ。早く、入りますよ」

「お、おう」


 歩くこと数分で、莉奈の目的のお店へと到着した。

まあ、俺が絶対に行かないような所だった。


「四宮さんは素材はいいですからね。顔もスタイルもいいですし、結構なんでも映えるとは思うんですよねぇ」


 莉奈はメンズの服を漁っていた。

こんなかわいい子に服を選んでもらえるというのは何とも言えない優越感があると思う。


「聞いてます?」

「ああ、聞いてるよ」

「セットアップとかが無難ですよね」


 莉奈は俺に合わせて選んでくれている。


「とりあえず、これを下に着てこのセットアップとか」


 俺が普段なら選ばないような色を進めてくれた。

まあ、普段と同じもになっても仕方ないのでそれはそれでありだと思うが。


「あとは、パーカーとかもいいですよね。かわいくなりますよ。ほら、これとか」


 莉奈は薄いベージュのパーカーを手に取った。


「この上に四宮さんがいつも着ているジャケットとか羽織っても雰囲気変わると思いますし」

「なるほどぉ」


 確かに、今まではYシャツばかり着ていた。

やはり、若い女の子に選んでもらうと女子受けを考えてくれて新鮮な感じがするのであった。

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